ぜんそく関連医薬品で一進一退の動き
2006年10月31日 19:30
【塩野義製薬(4507)】は10月27日、欧米で臨床試験をしていた気管支ぜんそく治療薬の開発を中止すると発表した。一方【協和発酵(4151)】はぜんそく治療用の抗体医薬の臨床実験をアメリカで始めたと発表した。相次いで行われたぜんそく治療薬関連のニュースだが、まとめると一進一退の状況のようだ。
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塩野義製薬が開発を中止したのは、気管支ぜんそく治療薬「S-5751」。2005年後半から臨床試験を実施していたが、統計学上プラセボ(偽薬)との効果差異を認めることができなかったという(発表リリース、PDF)。塩野義側ではヨーロッパへの展開商品としてこの「S-5751」と、抗肥満薬「S-2367」を主軸にすえていく予定だったが、片方の柱が事実上頓挫したことで、今後のヨーロッパ展開の戦略の転換を求められそうである。
一方協和発酵は10月30日に公開した【中間決算のプレゼンテーション用資料(PDF)】で、16ページ前後から「BIW-8405」という名前でぜんそく治療用の抗体医薬を紹介。その中で、アメリカでの臨床試験をはじめたことを述べている。この「BIW-8405」はぜんそくを引き起こす「好酸球」という白血球に結合し、好酸球を降参(こうさん)ならぬ死滅させるもの。「ポテリジェント技術」とよぶ独自技術で薬の効果を高めているため、比較的重度の患者にも効果が期待できるという。
当方も幼いときは(公害病指定未満の難度だったが)ぜんそく持ちで、今でも体調が悪くなるとぜんそくが再発することがある。ぜんそくは見た目以上に本人の体力を消耗する。少しでも汗をかくと体調を崩してしまうし、息苦しくてまるで水の中でおぼれているような錯覚におちいることがある。さらに夜は呼吸が特につらく、眠れなくなることもしばしば。その困難さは言い古された言い回しだが「なってみないと分からない」ものだ。
今回塩野義製薬の治療薬の開発が事実上失敗してしまったわけだが、それとほぼ同時に協和発酵側の治療薬がワンステップ前進したのも、偶然以上の「何か」を感じてしまいたくなる。一刻も早く、多くのぜんそく患者が「胸をなでおろして安らかに眠れる」ような薬を開発してほしいものだ。
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