動画に連動する広告……テレビとネットの連動模索を個人でやってみる
2006年10月22日 19:00
先に【「TV CMはもう駄目なのか」、だとしたら「なぜ」なのか、そして「ライバルたるインターネットとどう付き合うべきなのか」】で、「テレビとインターネットは互いにWin-Winの関係になるべきだ」という主旨の話をした。その記事の執筆時に「テレビや動画はインパクトがある。一方でネットは即時性や衝動に対応できる便利さがある。その両方をうまく融合できないか」という発想がもやもやと頭に思い浮かんでいた。
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最近複数のテレビ局や広告代理店が「専用の双方向性機能を持つテレビを使った通販展開」を模索しているという。例えば「笑っていいとも」を見ると、今日のゲストに関するデータが(地震速報などで画面の下や横が区切られるようなエリアに)さまざまなメニューと共に表示される。司会のタモリにカメラが向けられると、タモリがつけているサングラスの商品データが表示。「詳細を見る」をリモコン操作で押すと、そのサングラスのデータが映し出され、「購入ボタン」ひとつで通販として買えるという仕組みだ。
番組との連動データの製作や通販サイトとの連携から、現在のところそのような仕組みを提供するまでには至っていないが、かつてホリエモンが「テレビとネットの融合」という言葉で語っていた仕組みや、今[楽天(4755)]が【TBS(9401)】に向けているラブコールの内容の一部もそんなところだろう。インターネットメディアの即時対応性と便利さ、テレビの普及力と影響力という双方の利点を活かし、両方のメリットになる新たなサービスを提供しようというものである。
すでにテレビ番組内で使用された曲などのデータを参照できるサービスはいくつも登場している(【テレビドラマデータベース】)。このようなデータは元々放送局側が持っているのだから、やろうとすれば番組中で流すことができるわけで、そう難しい問題ではない。事前の手間がかかるだけだ。ドラマを見ていて「あ、この曲いいな」と思ったときにボタン操作でそのCDが購入できるのなら、つい買ってしまう人も少なからず出てくるだろう。
テレビそのものにそのような仕組みを取り入れるのは関連企業様にお任せするとして、「個人でも何かできないかな」と思っていたところ、面白いASPサービスを見つけた。【TEDDY-GのYouTube+Ads】というのがそれだ。
解説によると、対象となるYouTubeの動画にアマゾンジャパンの代理店コードなどパラメータを入力。タグが自動生成されるのでそれを貼り付けるだけ。これなら個人レベルでサイト上に「動画の配信とそれに連動した商品の紹介」というモデルを再現することができる。
YouTubeにはもともと説明のためのタグが設定されているが、このタグを元に指定してあるカテゴリから検索を実行し、該当する商品を映し出すとのこと。どこまで精度が高いか微妙なところがあるし、将来は「タグによる検索ではなく設定側が特定指定した複数の商品を順ぐりに表示できるといいなあ」と思うのだが、それはさておき早速やってみた。
YouTubeの動画には色々と問題があるのも少なくない。そこで今回は試験ということもあり、すでに当サイトで取り上げている、多方面で確認を取り権利上問題の無いものを使ってみることにした。
アメリカ政府機関の国家薬物取締政策局(ONDCP、Office of National Drug Control Policy)によって投稿された、警察犬から逃れる少年の動画。カテゴリは諸般の事情から和書に設定。銭形刑事から逃げるあたりを連想したのか、ルパン三世の本などが出てきて笑える
NBCによる番組「Biggest Loser」のプロモーション動画。カテゴリはDVDで設定。見事に番組の収録DVDなどが表示される
また今回は、【アキバ経済新聞】でも報じられていた、ナイキ【NIKE id】のバイラル広告として制作され、配布が推奨されている「Akibaman」の動画も用いてみた。日本でもようやく企業側が「YouTubeの動画を積極的にサイトに使って欲しいな」という行動を起こす傾向が見受けられ、嬉しい限りだ。こちらもカテゴリはDVDを選択。試しにスポーツカテゴリを選んでみて「ナイキのシューズが出てくればベストなのに」と思ったのだが該当するものが無く、表示はされなかった。残念。
ナイキの「NIKE id」サービスのバイラル広告「Akibaman」を使用。合っているのかいないのかよく分からないDVDが出てきて、それはそれで面白い
サービス提供元では
「動画に広告挿入なんて不要です。偉い人には(ry」というのを証明しようとして作ったもの。最近少しずつインターネット上のビデオ+広告のマーケットが広がりつつあるが、単純に広告(CM)が挿入されても、ユーザーから見ればウザいだけ。そんなのいらねえよ!と言いたかったわけだ。
と多少やさぐれてはいる(笑)。指摘としてはうなづくところもあるが、試みとしては非常に面白いのもまた事実。例えば検索キーワードをタグ設置側でも指定できるようにするなど、今後の改良次第ではさらに素晴らしいASPサービスとして成り立ちうると思われる。
コンテンツホルダーのテレビ局などがインターネットへの動画というコンテンツを提供し、今回紹介したようなサービスによって多くのユーザーが口コミを行う。卓越した技術の持ち主による開発と工夫、さまざまなアイディアと発想によって、双方向テレビと同じような仕組みがより簡単に、ネット上で波及することになるのかもしれない。
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(最終更新:2013/09/15)
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