隕石で小屋全焼、男性が大やけど。保険はきくのかな?……ドイツでのお話
2006年10月22日 19:00
【ロイター通信】が報じたところによると、ドイツ警察は10月20日、10日にドイツ・ボン郊外のジークブルグで小屋が全焼した火事は、隕石(いんせき)による可能性が高いとの見解を発表した。この火事では77歳の男性が両手と顔に大やけどを負っている。
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火事の当時、空に弧を描く赤々と燃えるような光を目撃したという目撃証言もあるとのこと。地元警察のスポークスマンは観測所の話として「当時、地球の近くに流星体があったため、その破片が大気圏に突入したのではないか。通常は大気圏に突入する過程で燃え尽きるか分解し、地上まで達しない。しかし今回はその例外の可能性がある」としている。
実は大なり小なり地上にはひんぱんに隕石は落ちてきているものであり、確率論的にそれらが住宅などに落下し、今回のような事故を引き起こす可能性はゼロとはいえない。では仮に隕石の落下によって(今件のような)火災が起きた場合、保険は適用されるのだろうか。
映画『ディープインパクト』や『アルマゲドン』のように大規模かつ事前想定可能な時期確定事象に対する保険の適用は難しそうだが、今回のような小規模で突然の、いわば天災(自然災害)としてのものなら適用しそうな気がする。とはいえ、そもそも現行の保険では「隕石が降ってきて何らかのダメージを受ける」などという想定はほとんどしていない。地震で発生した火災ですら、火災保険のみの場合には基本的に「建物が半焼以上の被害を受けた場合に限り」補償される(地震での火災に十分に備えるためには地震保険にもあわせて入っておく必要がある)。
加入している保険の、補償対象となる項目に「火災、落雷、風、ひょう、雪災による天災」のような表記がされているか、あるいは「(前略)雪災などによる天災」という表記によるかで判断は変わってくるだろう。前者なら保険会社は「隕石は対象外ですから補償できません」と答えるし反論は難しい。後者なら「隕石は事前想定が不可能な天災だから『など』に含まれる」と抗弁することが可能だ。
色々調べてみると日本でも、住宅に穴を開けたり自動車に直撃するなど、隕石の落下による被害事例はそれなりにあるようだ。有名どころでは1992年に民家を直撃し大穴を開けた人家を直撃した美保関隕石がある。こちらは6.5キロもの重量があり、二階建ての民家の屋根から地面まで貫通した(【山口博物館】)。現在は落下地点に記念碑が建立されているという。この際にはJA島根の「火災や自然災害を対象にした」損害保険が適用され、住宅修理費全額が支払われることになったという。当然この保険にとっては宇宙からの落下物被害に対する適用は初めてだったとのこと。
命をはじめとする大事なものさえ失わなければ、隕石の落下は「滅多にないこと」として、むしろ有難がるべきことなのかもしれない。もちろん今回のドイツの件で大やけどをおった男性の方にはお気の毒さま、としか言いようが無いが。
(最終更新:2013/09/15)
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