ネット上の監視事業活況、リスク回避が目的
2006年10月20日 12:30
【asahi.com】によるとネット上にあふれている情報の中で企業や管理人に好ましくないものについて、それらをチェックし逐次お知らせする、いわば「ネットの見張り番」的ネット監視代行会社が活況を呈しているという。
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先に【何かと話題の「ピットクルー」のインタビュー記事掲載】でお伝えした【ピットクルー】も業務のひとつに「ネットの巡回監視」を挙げているがそれによると監視代行とは
不特定多数の人間が集まる著名な掲示板やブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを巡回監視し、貴社および貴社の商品・サービスに関する情報(評判、批判、批評、うわさ話など)が投稿されていないかどうか、投稿されているとしたらどのような内容なのか、実際に人の目で綿密に監視します。監視は24時間、ルーティンで実施し、発見した投稿情報に関しては詳細なリポートを提出いたします。
という業務内容であるという。元記事では佐賀県庁が「危機管理・広報課」が監視会社の【ガーラ(4777)】に依頼している監視内容についての紹介が語れている。ガーラからは毎朝1000件ほどの「佐賀」という言葉が含まれる最新情報が送られてくる。対象は掲示板、個人のサイト、ブログ、さらにはメールマガジンやニュースサイト。これらから「佐賀」を含む三つのキーワードにマッチしたものが拾い上げられ報告されるという。この契約で月10万円ほど。
かつて2003年の年末に佐賀銀行が取り付け騒ぎに見舞われた際、この原因が元をたどると一通のメールだったという苦い経験が佐賀県にはある。この件はチェーンメールによって実際の金融機関が取付け騒ぎに巻き込まれるという、インターネットの情報の特異性を示す一つの例としても話題となった。そこで佐賀県ではガーラと契約を行いモニタリングを始めたもので、当初はリスク管理が目的だった。現在では「佐賀に好印象を寄せたブログを見つけるとお礼のメールを送る」など、ポジティブに活用している。
ただし今でも「佐賀ブランドを守る」ということで、間違った情報を見つけると訂正を求めたり削除を依頼するとのこと。これまでにも実績は色々とあるそうな。
これはガーラの【e-mining】というサービスで、機能としては
・随時キーワードの変更が可能
・類似語・伏字対応
・サブキーワード設定機能
・検索範囲を調整、変更が可能
・リスク度判定機能
・CSVへの保存が可能
・ステータス権限設定
・検索データの自動グラフ化
・SSL対応
・キャッシュ表示
などがある。キーワードの選択によって情報の流出による影響を最小限にとどめたり、逆にマーケティングに活用することもできるとのことだ。
ガーラのシステムは主にプログラムによって得られた検索結果をソート(並べ替えなど)して顧客に提供するものだが、人海戦術によって同様のチェックを行う会社もある。こちらの例としては【イー・ガーディアン】が紹介されていた。
インターネットの世界には毎日大量の情報が送り込まれ流通していく。CGM(Consumer Generated Media、利用投稿者らによるコンテンツ形成ができる仕組み)がもてはやされ、新しいビジネススタイルのひとつとしてSNSやナレッジマネジメントシステムという形で提供され活用される昨今、創り出される情報の内容が気になる人(企業、団体、グループ……)も多いだろう。
その情報が明らかに間違ったものだったり、意図しないものとして公開されているのなら差し止める必要が出てくるのも当然。しかし限られた経営資源ではチェックし切れないだろうから、ピットクルーやガーラのような「第三者的な立場から監視を行うチェッカーマン」的な存在は必要不可欠である。また、今後ますますニーズは増えるに違いない。
他方、企業側などにしてみれば「隠したい、公開したくない情報」だが、他の大多数、あるいは世間一般的、倫理的には公開されるべき情報だった場合、その情報を押しとどめるべきなのか否かという問題も発生する。会計操作やインサイダー取引、商品の問題点が判明しているのに意図的に公開していない、などが例に挙げられよう。これらの情報がチェック対象だった場合、どう判断されるべきなのか。考えどころではある。
もっとも今回の「チェッカーマン」たちはあくまでも「情報を探してその存在を知らしめる」だけ。いわば人力(あるいはプログラムによる)特殊機能による検索エンジンのようなもの。例えば「サクラ的に話の流れを都合の良いように誘導」「関係の無い話やスパム行為で問題のある情報を押し流す」「反対の情報を流して別の印象を与える」ようなことはしていないはずなので、このような懸念はまさに「杞憂」だと思われるのだが……。
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