何かと話題の「ピットクルー」のインタビュー記事掲載
2006年10月19日 12:30
当サイトでも何度か取り上げた、ブログやコミュニティを第三者の立場から監視して通報したり削除を行う、いわばネット上のお庭番的活動を業務とする【ピットクルー】について、【IT mediaによるインタビュー記事】が掲載された。何かと興味深い、ピットクルー側からの話も目にすることが出来る内容なのでここにピックアップをしておこう。
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ピットクルーはサイト運営側からの依頼を受けて、そのサイトの運営権限のもとに相応しくない書き込みを削除したり、あるいは判断をゆだねるために通報を行う、モニタリング役や調整官、ガードマン的役割を業務とする会社。いわく、監視は人力を行っており、スタッフの数は350人程度。1年365日24時間体制で監視をしている。
業務は2000年からスタートしていたが、依頼は2003年ごろ、企業がプロモーションやマーケティングにインターネットを活用し始めてから増えはじめたとのこと。東京拠点で監視中のサイトは掲示板なども含めて21、ブログは5とそれなりの数。ポータルサイトやインターネットプロバイダー、一般企業など大手各社からの依頼が相次ぎ、中には上場を前にして「健全さを強固なものとする」ためにピットクルーに相談にくるところもあるという。
書き込みの削除や通報の基準はピットクルー側と依頼側との打ち合わせできめ、チェックリストをつきあわせて確認する。いわば手法としてはいささか古臭い、人海戦術による最先端メディアへのパトロール部隊がピットクルーなわけだ。
興味深いのは、ピットクルー側の話として「自社に不利な情報を削除するといううわさが立てば企業イメージにかえって傷がつくため、自社に対するマイナス評価があっても批判として受け入れるから削除の対象にはしない」という企業が増える傾向にあるということだ。「クレームは企業にとって財産になる。その点を謙虚に受け止め改善に役立てれば、クレームをつけた人は優良顧客になりうるし、企業そのものもよくなるからだ」という言葉があるが、まさにそれを地でいくような話。
その一方、以前の記事の中でも紹介した「掲示板上にスタッフが『書き込みで参加して論議を”誘導”し、悪意を緩和させる』という、いわばヤラセ的措置も取る」という話については、
「一般の掲示板で書き込み削除を依頼したり、書き込みによって議論の方向を誘導することはない」
「当社が第三者を装って掲示板に書き込むことは一切ない。そういった内容は事実ではない」
とし、これについて否定している。
第三者やサクラ的な立場で書き込みを行い、依頼主のネガティブイメージを打ち消したり話をそらしたりするようなことをピットクルーがしているという話が「ピックル(ピックる)」という呼び名と共に一部で持ち上がっている。今回の記事ではそれを明確に否定したわけで、正式なコメントとして記事に掲載されている以上、そのような業務は存在しないということなのだろう。
繰り返しになるが「自社に不利な情報を削除するといううわさが立てば企業イメージにかえって傷がつくため、自社に対するマイナス評価があっても批判として受け入れるから削除の対象にはしない」ということもある。万一そのような業務が行われているのならば、企業のニーズはますます増えるだろうが、同時にリスクもきわめて大きくなることは、想像するに難くない。
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