日本証券業協会、株式譲渡益の優遇措置が予定通りに終了なら個人投資家にマイナスとの調査結果

2006年10月18日 06:30

株式イメージ【ロイター通信】によると【日本証券業協会】は10月17日、2007年末に期限を迎える株式・投資信託の譲渡益に対する優遇税制措置である10%(従来なら20%)の終了が個人投資家の投資行動にはマイナスの影響を与えるとの調査結果を公表した。

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調査は2006年6月に日本証券業協会が外部調査機関に委託して株式・公社債・投信のいずれかを保有する個人投資家2000人を対象にアンケートを実施し、55%の回答率を得て集計分析したもの。

その結果、仮に2008年から譲渡益にかかる税率が20%に戻った場合、

・投資方針にマイナスの影響がある……54.5%
 (そのうち
   ・2008年以降新たな投資には慎重になる……32.2%
   ・損益次第では2007年までに保有株を売却する……26.8%)
・投資行動に影響はない……25.8%
・分からない……18.2%


という結果が出た。

日本証券業協会では「貯蓄から投資」の流れを定着させるため、譲渡益に対する優遇税制措置の継続だけでなく、損益通算範囲の拡大などを求めている。しかし与党内では「景気や株価が回復したのだからもう優遇措置は必要ない」との意見が増えている。

そのような与党内意見に対して日証協では【日本証券経済研究所】に依頼した定量分析結果も提示し、「個人投資家は本来、年末に売り控えの傾向があるが、2007年末に優遇措置が終了すれば、逆に株式の駆け込み売却が発生するなど市場のかく乱要因となる」との見通しを示している。

かつて大手企業や金融機関同士の持ち合い株状態を解消するために大量かつ広範囲な優良値嵩株の市場売却が行われたため、実際にも市場心理的にも株価を押さえつける状況が発生した。今回もし優遇税制措置の延期がなければ、日証協の指摘どおり今度は個人投資家のサイドから「大量かつ広範囲な、しかも優良値嵩株に限らず広範囲な銘柄の駆け込み売却」が予想される。2007年末まであと1年強となった今、議論はますます活発化することだろう。


■参考記事:
【株式等譲渡益課税制度の沿革……財務省】

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