【更新】戦前の日本映画のフィルム、台湾で大量に発見。一部をネット公開中
2006年10月17日 19:30
[産経新聞]の報道によると、太平洋戦争以前に制作された日本映画のフィルムが台湾で大量に発見され、修復作業を終えた一部が先月末からネット上で公開されている。作品は記録映画(ニュース映画)、劇映画、アニメなど多種多様に及んでおり、日本ではまだ発見されていない映像が含まれている可能性もあるとして注目を集めている。
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公開されているサイトは【片格轉動間的台灣顯影】。記事によるとこれらのフィルムは、2008年の開館を目指す台湾歴史博物館が3年前に収集家から買い取ったもの。戦前に台湾各地で上映されたものと推測されている。修復作業の指揮を執る井迎瑞・台南芸術大学教授は「(戦前のフィルムが)これだけ保存状態が良く、しかも大量に見つかるのは珍しい」と話している。
フィルムは全部で168点。1930年から40年代に制作されたものが多く、さらに劇映画やアニメは日本で撮影されたもの、記録映画は台湾で撮られたもののもよう。いずれにしても歴史的が極めて高い。博物館は現在、修復作業を優先するため個々のフィルムに関する調査には着手しておらず、作品名が判明していないものもある。井教授は「日本の専門家にはまだ連絡を取っていない。当時の関係者が生きていたらぜひ話を聞いてみたい」と語っているとのこと。
修復現場。デジタル、アナログ、両方を駆使しているようだ
実際サイトを閲覧してみると、台湾語の変換ツールがないので翻訳はかなわず、何とか漢字の意味で一部判読が出来るという感じ。「研究内容」「修復過程」「成果展示」などそのまま日本語でも意味が通じるものがあるのがありがたい。「相關資源」は関連リンク集で、「計畫説明」とは恐らくプロジェクトの趣旨説明のことだろう。
具体的な展示品は「成果展示」のメニューから閲覧が出来る。「准演執照翻攝成果展示」はフィルムとセットになった説明文献の修復成果のようで、科学的論述書である「空気」にはじまり、健康医学的な「食物と消化」、さらには「お猿の三吉突撃隊」「のらくろ伍長」など、当時の文化や技術などを知り得る重要なフィルムが修復を待っていることが分かる。中には「日本ニュース」「電燈」のような当時の日本のようすを知りえるものや、「カヘルとパラシユート」のように軍事色が強くなってきた社会情勢下で作られたであろうアニメ(そもそも「のらくろ」や「突撃隊」もその類なのだが)など興味深いものばかり。
「影片修復成果展示」では断片的に修復が完了したフィルムをストリーミング動画の形で閲覧できる。確認した限りではすべてが日本語で語られているので、何の不自由もなく閲覧が可能だ。非常に興味深いものばかりで、時間があればじっくり中身を確認したいもの。
「影片修復成果展示」。断片的だが修復されたフィルムをストリーミング形式で閲覧できる。もちろん日本語。
「南進台灣」はどうやら当時の台湾の情景を記録した映画の集大成のようで、台湾にとってはもっとも価値が高いと判断されたのか真っ先に修復され、特別の項目で解説がつけられている。それぞれの動画は日本語で語られているが同時に台湾語のスーパーがつけられ、我々日本人も台湾の人も内容をじっくりと確認することができる。モノクロではあるが当時の台湾のようすがきわめて細かく記録されており、歴史的価値が大変高いものと思われる。
「南進台灣」。当時の台湾の文化を知ることができる貴重な映像たち
修復作業は工程半ばのようだが、台湾だけでなく日本にとっても非常に意義のあるプロジェクトに違いはない。日本の資金なり技術なりを投入しても良いものと断言できる。どこか手を挙げてくれはしないだろうかと考えるばかりだ。あるいは日本の政府がアプローチをかけてもよいだろう。
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