ロシアで日本円を外貨準備通貨に採用、外貨分散の方向へ進むか
2006年10月18日 06:30
【NIKKEI NeT】の報によるとロシアの中央銀行は10月16日、外貨準備金約2700億ドルの一部を日本円で運用し始めたと発表した。従来はアメリカドルに集中させていた運用の多様化・分散化の一環で、日本円の採用はアメリカドル、欧州ユーロ、イギリスポンドに次ぐ第4の外貨準備通貨としての採用になる。円の運用比率は全体の数%に達するもよう。
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今回の決定は中央銀行のウリュカエフ第一副総裁が明らかにしたもの。ロシアでは原油の高騰を受けて原油売却による収益が増加し、外貨準備額もそれに比類して増加していた。それと前後し2005年には自国通貨のルーブルをドルに連動させる連動為替制度を廃止、リスク削減のために外貨準備の構成比見直しにも動いていた。2004年には70%を占めていたドルだったが現在ではドルとユーロを合わせて45%に過ぎず、ポンドがそれについで10%だという。
ロシアの外貨準備高そのものはこの1年間で7割ほどという急速な伸びを示している。一部地域では自国通貨ルーブルよりも流通している感があり、給与の支払いや商品・サービスの価格表示にドルが用いられることも多いという。現在ロシアでは400億ドルものアメリカドルが流通しているとの話だ。
ちなみに米ドル・ロシアルーブルの交換レートは【ヤフーファイナンス(アメリカ)】を見る限り、この一年の間ではややルーブル高の傾向にある。今後この動きがどう変わるか、今のところ予想はつきにくい。
今回のロシア中央銀行の動きが単なるリスク分散によるものなのか、アメリカドルの世界金融市場における影響力の低下によるものかは不明。とはいえ、少なくともロシアにおいてもきちんとした投資判断がなされるようになったことには違いは無く、ロシアそのもののリスク低下という観点からすれば歓迎すべき動きだろう。
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