クローン猫を提供するベンチャー企業、「毛の模様が違う」などのクレームで需要が少なく廃業へ
2006年10月14日 12:30
【asahi.com】などが報じたところによると、世界ではじめてクローンペットのビジネスを始めたアメリカのベンチャー企業【ジェネティック・セービングス・アンド・クローン(Genetic Savings & Clone)】社が年内にも廃業することが明らかになった。クローン猫の需要が少なく、ビジネスとして成り立たなかったのが原因という。
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おおもとの記事の【AP通信】の記事などと総合すると、同社は9月に顧客に手紙を送り、「新しいクローンペットの注文は受け付けない」と表明したという。さらに中止の理由として「クローンペットを商業化できる技術を開発するまでにいたらなかった」と説明している。
また、6年間の会社の歴史の中で5匹しかクローンを産み出せず、しかもそのうち2匹しか販売できなかったという事実が今ビジネスの難しさを証明している。結局同じDNAを引き継ぐクローン猫を誕生させても毛の模様は同じにならず見た目が違うため、需要には結びつかなかったのが需要を喚起させなかった一因。
Genetic Savings & Cloneトップページ。下のバナー部分には「猫のクローン料金値下げ」と書かれている。
現在も同社のサイトには「3万2000ドル(384万円)でクローン猫を」とのうたい文句が描かれているバナーが掲載されている。かつては5万ドル(600万円)でかなりの値引きをしたが、それでも集客にはつながらなかったようだ。
同社は2000年に創業され、2004年にはクローン猫の創生に成功。さらにペットとしては猫同様に多くの人に愛されている犬のクローン技術の設立にいそしんでいた。しかし技術云々はともかくとして、需要と供給の経済法則にマッチするだけのものを作り出すまでにはいたらず、今回の廃業宣言にいたってしまったようだ。
ペットのクローン技術で思い出されるのがアーノルド・シェワルツェネッガー主演の『シックス・デイ』。聖書において神が世界を創造した6日間から来たタイトルにもあるように、クローン技術をテーマにした映画だが、この世界では人間のクローン化が可能となっている(設定は2007年。来年ではないか!)。倫理的な問題から人間のクローンは法律で禁止されたが、ペットは問題なく可能とされ、ビジネスとして広まり、社会に深く浸透している。
映画の描写ではペットのクローンについて「不慮の事故で貴方の愛するペットが失われても細胞さえ保存しておけばすぐにクローンを創り、よみがえらせることができます」というコピーで業者が売り込みをかけて、世間に受け入れられていた。そして実際に、毛並みも性格(記憶まで)もほぼ同じ猫や犬が業者からまるで「コピー機で複写するかのように」送り出されていた。主人公はそのありさまに疑問符を投げかけていたが、実は……という具合にストーリーは展開していく。
今回廃業することになったGenetic Savings & Cloneの技術ではあくまでもDNA情報が同じ動物ということであり、毛の模様や、ましてや性格・記憶までのコピーにはいたっていない。当然、「シックス・デイ」のようなことは起きるはずもない。
しかし将来「シックス・デイ」のような技術レベルに達したとしたら、やはり同じような業者は登場するのだろうか。そして万が一のことがあった時、自分らの愛猫や愛犬を彼らの手にゆだね、「複製」の友を創生してもらうという選択肢を取るのだろうか。
今回のGenetic Savings & Cloneの廃業宣言は、考えさせられることが多い出来事に違いはない。
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(最終更新:2013/09/15)
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