【更新】シニア層に急増する新現代病、「パソコン指腱鞘炎」こと「反復運動過多損傷」

2006年10月09日 12:30

マウス使用イメージ[産経新聞]によると、パソコンに接する時間が特に急増しているシニア層に、「パソコン指腱鞘炎(けんしょうえん)」ともいえる症状事例が出始めている。これはマウスのクリックを繰り返すことで指の腱鞘を傷めるもので、年を経るにつれて指の腱鞘が硬くなっていることが発症の一因とされている。

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元記事ではいくつかの事例を挙げ、特にマウスを使う際に酷使される「ひとさし指の第二関節と第三関節の間にある腱鞘を傷める腱鞘炎が増えている」との指摘がなされている。マウスを使う場合でないと過度に使われるという状況が想定できない場所の腱鞘なだけに、症状も特異なもの。しかも「腱鞘炎」という症状自体は珍しくないものの、この場所での腱鞘炎はこれまであまり類を見なかったもので、手術も簡単ではないとのこと。

またこの「パソコン指腱鞘炎」は、特に中高年の女性に多いケータイメールへの注力でも注意が必要であるという。若い人なら軽い腱鞘炎になっても一晩寝れば回復するが、中高年になるとそうもいかないとのこと。

同記事では腱鞘炎の症状とその対策について次のように箇条書きで解説している。

●こんな症状が出たら腱鞘炎に注意すべき
・手の関節にしこりのような「はれ」がある
・早朝や午前中に、手の関節がこわばる
・指のつけねを押すと痛い
・指の第二関節や、指の背面ににぶい痛みがある

●腱鞘炎になったら、あるいはなったと思ったらこんなケアを
・痛みや「はれ」のある患部を冷やす
・鉛筆などで添え木をして固めるか、テーブルに手のひらをつけて、指の屈折運動をしない
・指をもみほぐし、休ませる
・使い始めに指をあたため、使い終わったら冷やす


もちろんしかるべき病院に診察を受けてもらうのも忘れてはならない。

さてこの、元記事では「パソコン指腱鞘炎」と呼んでいるこの症状、賢明な読者諸君ならすでにお分かりの通り、すでに海外、特にアメリカでは携帯端末の普及と共に問題視されている「反復運動過多損傷(RSI:Repetitive Stress Injury)」に他ならない。携帯端末の場合は特に使われるのが親指なので、親指に症状が頻発したが、今回の記事のような「マウスの多様による症状」ではマウスの利用にひとさし指が使われるので、症状もひとさし指に発生しただけの話。

親指にしてもひとさし指にしても、本来想定されていなかった方向への力が多数回、しかも強い力が加わることでおきうる症状。ケータイやマウスの利用という「運動」の頻発化が、人類の身体の構造では想定していなかった(そんな大げさなものでもないが)結果、今回のような「パソコン指腱鞘炎」「反復運動過多損傷」をもたらしたものと思われる。

パソコンやマウス、ケータイの利用を前提とした人類の進化を待つのは数万年単位の時の流れが必要と思われるので、それまでは無理をせず、適時休みを入れながらの利用が求められるだろう。もちろんマウスなら自分の使い方や手・指のサイズにマッチし、使いやすいタイプのマウスを探して利用することで、指にかかる負担を減らすことができる。

言葉どおり自分の「手となり足となり指となる」マウスやケータイには、少々のお金と時間をかけてもよいから良いものを探すのが、「パソコン指腱鞘炎」「反復運動過多損傷」を防ぐもっとも効果的な方法となるに違いない。


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(最終更新:2013/08/25)

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