クラゲの光遺伝子でがんを発見する検査方法が開発

2006年10月02日 12:30

時節イメージ[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]が報じたところによると、がん細胞の中だけで増殖する特殊なウイルスに、クラゲから取り出した光を発する遺伝子を組み込み、小さながんや転移したがんを見つけ出す検査方法を【岡山大学遺伝子細胞治療センター】の藤原俊義助教授の研究グループが開発した。医学専門誌【ネイチャー・メディシン】に掲載された。

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研究グループでは、がん細胞が増殖する際に働く遺伝子の一部を風邪のウイルスに組み込んでがん細胞の中だけで増え続けるようにし、さらにクラゲから取り出した「光を発する遺伝子」を組み込んだ。これを実験用のマウスに注入したところ、ウイルスはがんの本体やがんが転移したリンパ節で増殖し、特殊な光をあてるとがんの細胞が緑色に光るのが確認された。このウイルスはがん細胞の中では100万倍に増殖するが、正常な細胞では増えなかった(がん細胞そのものが100万倍に増殖するわけではない)。

要は

「がん細胞の遺伝子の一部(増殖時に必要)」+「風邪のウイルス」+「光を発するクラゲの遺伝子」
→「(増えた部分は)光るがん細胞に付着したウイルス」


という仕組みになる。さらに比ゆ的に表現すると「風邪のウィルスが、がん細胞を見つけ次第光る塗料を塗ってくれる」というところだろうか。

増殖したがん細胞のみが光に反応するため、現在のCT検査などでは見つけにくいがん、転移したがんも肉眼で確認できるため、手術でも確実に取り除けるようになるという。

くらげの光る遺伝子といえば【アメリカのアレルカ社、猫アレルギーの人でも安心して飼える猫「hypoallergenic猫」を遺伝子組み換えで「開発」】でも取り上げた、「光るメダカ」が思い起こされる。これは単に観賞用として遺伝子が使われたがために色々と物議をかもし出した。

今回は「積極的に見つけ出したいもの」であるがん細胞にマーキングをするため、風邪のウイルスの手も借りて光らせるという「有益な使い方」をしているため、歓迎されることだろう。もちろん実際に人間に使うとなれば、遺伝子操作をした風のウイルスを注入する必要があるため、さまざまな検証をしなければならない。それらを差し引いても「転移したがん」を早期発見できる可能性が高くなるのなら、研究を続ける価値は十二分にあるに違いない。

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