すき家、コメを使わない牛丼(?)「牛丼Light(ライト)」を発売

2006年10月26日 19:30

「牛丼Light(ライト)」イメージ牛丼チェーン店すき家を展開する[ゼンショー(7550)]は10月16日、新メニューとして「牛丼Light(ライト)」を発売した。380円(税込み)。通常の牛丼には必ずある「ご飯」が無く、代わりに豆腐が入っているどんぶりメニュー(【発表ページ】)。

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すき家では新しいメニューコンセプトとして「ダイエットシリーズ」を新提案。その第一弾としてこの「牛丼Light」を発売した。ご飯の代わりに冷やっこを丼に置き、その上にミックスサラダを配し、そして牛丼用の牛肉が盛り付けられた形となる。カロリーは340キロカロリー。なお、味噌汁やおしんこ付・豚汁付のセットもあり、それぞれ383.5キロカロリー(450円)・459.5キロカロリー(500円)となる。ちなみに通常の牛丼の場合はそれぞれ552キロカロリー・816キロカロリー・891キロカロリーだから、6割程度にカロリーを抑えることができる。

キャッチコピーいわく

20歳代女性の基礎代謝量は、1209kcal/日、エネルギー所要量は2000kcal/日といわれています。すき家のダイエットシリーズは、低カロリーでありながら、栄養バランスとおいしさにこだわったヘルシーメニューです。


とある。確かにカロリーが半分近くに抑えられていることや、丼のデザインが通常の牛丼と比べると無地で(牛丼Lightそのものとあわせ)サラダ風であること、表記にフランス語ふうなニュアンスの言い回しを用いていることなどから、若い女性をターゲットに「ちょっとオシャレな牛丼食」をイメージした商品と見ることができよう。

牛丼Light
牛丼Light(ライト)ポスターより。オシャレでかわいらさを演出しているようにも見える。清涼飲料水の「ライト系」が行っている演出と同様のものだ

さて、ご飯の代わりに豆腐を用いた「牛丼Light」が果たして「牛丼」と呼べるのかどうか少々疑問なところがある。「牛丼」とは【Infoseek辞典】で調べてみると「牛飯」と同意語とあり、「牛飯」とは「牛肉をネギなどと煮て、汁とともにどんぶり飯にかけたもの。牛丼(ぎゆうどん)。」と説明されている。つまり、本来の定義では、ご飯を用いていない「牛丼Light」は「牛丼にあらず」ということになる。一方Wikipediaでは「牛肉のバラ肉や切り落とし肉をコマ切れにして、玉ねぎとともに甘辛く煮込んだ具材を、丼に盛った飯のうえにかけただけの庶民料理。」と説明され、やはり「ご飯」という要素が必要不可欠と説明されている。

本来牛丼はもちろん天丼にしても卵丼にしても豚丼にしても鉄火丼にしても、丼にご飯を盛り付けその上におかずを乗せて料理として完成させるという、「食器の準備を少なく済ませる簡単な料理法」「主食と主菜をまとめて盛ることで主食のご飯に味をしみこませる」などさまざまなメリットが生じるかしこい料理法として登場した「丼もの」に他ならない。カレーライスやサンドイッチに通じるものもあるだろう。

このような観点で考えると「牛丼Light」はご飯を用いていない以上、「牛丼」の名を語るのは少々問題があるかな、と思わざるを得ないという意見も出てくるに違いない。(ちなみに「カレーうどん」は「カレーう丼」ではないので、念のため)

その一方、「ご飯だろうと豆腐だろうと、牛肉が丼に入っているのだから牛丼で良いだろう」という意見もある。現在「牛丼」のイメージが上記定義にあるように「丼+ご飯+牛肉」で固まっているから「牛丼はご飯が無ければ駄目だ」と考えがちだ。が、言葉の元もとの字面からみれば「牛(肉)」+「丼」であり、極端な話ご飯や豆腐が無くとも丼に牛肉さえ入っていれば「牛丼」と名乗ってもかまわないのではないか、と考えることもできる。つまり「牛丼Light」は豆腐が主食のご飯代わりに入っているが、立派な「牛丼」のお仲間というわけだ。

結局作る側・食べる側が美味しいと思えば、牛丼だろうと何だろうとかまわない、というところに落ち着くのだろう。一言で表現すれば「美味しければ何でもいいのよ」といったところ。とはいえ「牛丼Light」を目の前にして「これって牛丼?」などと考え、思考ゲームをしてみるのも一興だろう。

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