日立グループ、携帯液晶向けの高性能薄型タイプ・省電力タイプの新液晶IPS液晶モジュールの開発に成功

2006年10月16日 06:30

モバイルイメージ【日立(6501)】グループの液晶ディプレイ部門グループ会社である【日立ディスプレイズ】では10月12日、携帯電話用の高性能薄型タイプの液晶モジュール「携帯電話用IPS液晶モジュール」を開発したと発表した(【発表リリース】)。また同時に、屋外でも見やすいタイプで省電力でもある「モバイル用半透過型IPS液晶」も開発したと発表している(【発表リリース】)

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今回開発された技術は携帯電話を中心とするモバイル端末でテレビを見る機会が多くなったのに合わせて産み出されたもの。「携帯電話用IPS液晶モジュール」では厚み1.29ミリという世界トップクラスのモジュール厚を実現した。また、従来の液晶技術でよく知られているTFTとは動作が異なるIPS(In-Plane-Switching)技術により、テレビ視聴向けに綺麗でコントラスト表示にも優れた性能を誇っている。

一方「モバイル用半透過型IPS液晶」は厚みこそ1.6ミリと「携帯電話用IPS液晶モジュール」と比べればやや厚めだが(それでも従来型と比べれば0.4ミリ薄い)、バックライトの輝度の調整の調整技術を携帯電話用に改良導入し、電力消費量の無駄を減らすことに成功。輝度にもよるが20%~50%もの節電効果が望めるという。

携帯電話にさまざまな機能、特にワンセグによる動画配信の常用化が行われている昨今、最大の問題点がバッテリーの持続時間として持ち上がっている。【「ケータイで強化してほしい機能」第一位は「バッテリー耐久時間の強化」】でも紹介したが、携帯電話で強化してほしい機能の第一位にもずばり「バッテリー耐久時間の強化」があげられている。【ワンセグ対応端末に買い換えたい人が半数近くいる】現状を見るに、今後このニーズはますます高まるものと思われる。

画像をきれいにスムースにきめ細かくすればするほど表示時間が短くなり不便になるという相矛盾した問題を解決するには、「バッテリーの保有電力量を増やす」か「消費電力量を減らす」しかない。「保有電力量の増強」には【携帯電話最大の弱点も燃料電池で解決? 3倍から6倍長持ちタイプが来年にも商用化へ】にもあるように燃料電池の採用が最有力候補として挙げられるが、技術的問題も多くまだ本格的な普及には時間がかかる。

また、文章横にあるように持ち運び式の充電器(太陽電池や手動式)を使ったり予備電池を持ち歩くという手もあるが、そもそも「気軽に携帯する」のがメリットであるはずの携帯電話に、余計な荷物が必要なのは本末転倒ということになってしまう。

そこで電池の開発が進むまで、消費電力量をいかに抑えられるかがポイントとなる。今回の日立の技術は発想の転換(要らない部分は電力を使わない)による省エネということで、まさにアイディアと技術力の勝利といえるだろう。元々IPS技術を用いているので表示の美しさには問題ないだろうが、実際に携帯電話に搭載した上での実証実験など、いくつかの問題点をクリアすれば、今後多くの携帯ハードメーカー、そしてユーザーに受け入れられるものと思われる。

今後の具体的な機種搭載など、状況の進展に期待したい。


(最終更新:2013/09/15)

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