三菱重工業(7011)、災害監視支援ロボ「MHI MARS-G」を開発

2006年10月22日 12:30

地震イメージ【三菱重工業(7011)】は10月20日、人が直接近づけない災害現場などにいち早く入り込み、リアルタイムで現場の状況を監視・伝達する防災支援ロボット「MHI MARS-G」を開発したと発表した(【発表リリース】)。

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「MHI MARS-G」イメージ「MHI MARS-G」は三菱重工業が原発をはじめとする原子力施設向けの作業・点検ロボットでつちかわれた技術をベースに開発したもので、2連のクローラー(キャタピラ)を装着し、傾斜45度までの階段や、地下街、がれきでおおわれた不整地などを走行できる。多彩なオプション監視機能が搭載可能で、事件現場だけでなく事故や災害など、幅広い危機管理ニーズに対応する。1台あたりの標準価格は2000万円で、個人ベースでの購入は難しい。地方公共団体など公的機関で調達し、レスキュー隊や災害派遣部隊での配備が期待される。

サイズは幅500ミリ、長さ1000ミリ、高さ400ミリ。一般通だけでなく、階段の踊り場や駅の自動改札機などのすり抜けも可能。重さも55キログラムと軽く、衝撃による耐久性も高い(アルミパイプフレーム構造を採用)。走行速度は操作側で3段階にコントロールでき、最高速度は時速6キロメートルと、徒歩より多少早い速度。

操作はコントローラーに搭載されている左右2本のジョイスティックにより、有線・無線デジタル通信回線で行われる(ラジコンのプロポのようなもの)。回線は選択可能で、有線操作で回線が断絶されても、無線への自動切換えも簡単とのこと。

監視機能は4台のカメラによる画像通信・双方向音声通信が可能なほか、オプションとして各種監視情報のリアルタイム送受信機能がある。動力源はリチウムイオン・バッテリー。

ちなみに名前の「MARS-G」の由来はリリースにはないが、Gはグラウンドで「地面(にはいつくばって進む)」から来たと思われる。またMARSは「マーズ」でローマ神話の戦いと農耕の神(マルス、グラディウス……進軍する者の意味……とも)のことで、勇敢な戦士の理想的な姿とされることから、危険な現場でも勇気を持って突き進む姿からなぞらえたのに違いない。

軍事マニアとしては第二次大戦中にドイツ軍が利用したリモコン地雷「ゴリアテ」を想像してしまうが、それの偵察バージョンのようなものと思えば容易に想像はつく。現場偵察と情報収集が主な任務だが、事故現場の情報収集と正確な状況の把握は救助活動には必要不可欠なもの。「MHI MARS-G」は人命を損なわずに情報が集められる「頼りになる相棒」として、重宝されることだろう。

双方向音声通信が可能なのもポイントが高い。例えば地下街における閉じ込め事故があった場合、救助を待つ人たちに正確な情報を伝えたり、安心させるといった役割を果たすこともできるに違いない。

さらに技術が進歩すれば、多足歩行型の防災支援ロボット、さらには防災「救助」ロボットも登場することだろう。「MHI MARS-G」が各地に配備され活躍すれば、それらのロボットへの開発も一層推し進められるはず。そうなればこの「MHI MARS-G」は「はじめの一歩」となるのかもしれない。

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