手のひらサイズの自動音声認識翻訳機をシャープ(6753)が開発中
2006年10月05日 07:00
【IT media】に掲載されていたCEATEC JAPAN 2006のレポート中、非常に興味深い記事が掲載されていた。【シャープ(6753)】が現在開発中で参考出展されたポケット翻訳機に関するものである。これは「日本語で語りかけるとそのまま英語でしゃべる」という、まさに「手のひらサイズの通訳」を実現したものなのだという。
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記事によるとこの「ポケット翻訳機」はPDAサイズ。元記事には写真も掲載されているが、シャープのPDA「ザウルス」に似た形状をしている。このサイズで「日本語の音声を認識して英語でしゃべったり、英語の音声を認識して日本語でしゃべったりする」とのこと。例文が収録されていない場合でも対応可能で、かつ「ポケット翻訳機」そのものの説明をする機能も用意されているあたり、「いたれりつくせり」なもの(元記事説明いわく「外国人と話をする際に、突然変な機械を向けられて相手がとまどわないよう配慮した」とのこと)。
使用の際には日本語と英語の音声入力の際にそれぞれ専用のボタンを押してしゃべるとその音声を認識し画面上に文字が表示。その文字列を編集した上で「翻訳」ボタンを押すと翻訳されて、結果が電子音声で読み上げられるという。
今回出展されたものはコンセプトモデルだが、形状はこのまま製品化する予定という言及もある。また、英語だけでなく多言語に対応するオプションも可能性としてあるとのこと。
元々音声認識技術や音声出力技術はかなりのレベルまで進んでいるし(ニンテンドーDSを見れば一目瞭然)、日英の翻訳技術もほとんど問題のない質にまで近づいている。あとはこれらを
「音声認識技術」+「音声出力技術」+「翻訳技術」
というように組み合わせれば、今回の「ポケット翻訳機」のシステムは完成する。もっとも、それぞれの技術の精度の向上と小型化がネックだったわけだが、今回シャープはある程度自信をもって公開できるレベルにまで達するものが出来た、ということを披露したことになる。
[ソフトバンク(9984)]の孫社長が学生時代に「音声合成チップ」と「辞書」と「電卓」の3つのキーワードを組み合わせて音声出力型自動翻訳機を作り上げ、売り込んで一旗あげたのは有名な話。そして孫社長が売り込んだ先が、他にあらずこのシャープであったことは単なる偶然ではないのかもしれない。
既存の技術の組み合わせて新しい、便利なものを作り上げるという発想法は良く知られているやり方だが、その発想法で生み出された「組み合わせ」も、技術の進歩が追いつかなければ実現することはできない。今回シャープがハンディタイプの「翻訳家」こと「ポケット翻訳機」を参考出展したのも、その「技術が発想に追いついた」ということの表れであり、すなわちシャープ自身の技術への自信の表れでもあるのだろう。
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