楽天(4755)、「週刊新潮」の新潮社に12億6861万円の損害賠償請求
2006年10月05日 07:00
[楽天(4755)]と楽天証券は10月4日夜、先の楽天及び楽天証券に対する記事について、週刊新潮を発行する【新潮社】らに対し名誉毀損を根拠に12億6861万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した(『発表リリース』)。
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これは先に【週刊新潮にて「水面下で捜査が進む 楽天・三木谷社長の『Xデー』」特集記事】でも報じた、週刊新潮2006年9月7日号に記載された記事内容についてのもの。この記事内容を事実無根とし、楽天・楽天証券の社会的評価・企業価値が著しく低下したなど、重大な影響が生じているとし、さらに楽天証券については事実上多額の損害が生じているとしている。
特に損害の部分の説明については、
このような本件記事の掲載により、楽天及び楽天証券の社会的評価・企業価値が著しく低下し、実際、事実無根の本件記事掲載によって、楽天の株価が急落するなど、重大な影響が生じております。また、楽天証券においては、事業上、多額の損害が生じているため、上記損害賠償額を請求するものです。
というように、楽天の株価が「落転」する原因となったとし、怒りをあらわにしている。
今件の流れは
●8月27日:
・(楽天証券がWikipediaがらみでどたばたして株価に反応しやや下げ【参考:楽天関係者がWikipediaから楽天証券に関する「都合の悪いこと」を削除】)
●8月30日:
・「週刊誌(新潮)に楽天関連のマズい記事が載るらしい」という噂が流れて楽天の株価が急落(『参考:株式市場雑感8月30日中「楽天が明日発売の週刊新潮でスキャンダル発覚が指摘されるとの話が広まり(後場に入ってから下げ始めたので~)』)。
●8月31日:
・くだんの記事が載った号の週刊新潮が発売(【参考:週刊新潮にて「水面下で捜査が進む 楽天・三木谷社長の『Xデー』」特集記事】)
・楽天側、新潮記事内容を即日全面否定(【参考:楽天(4755)、週刊新潮の記事に否定リリース。また楽天証券のWikipedia削除問題では事実とその行為を「不適切」と認める】)
・楽天側、三木谷社長自らが否定コメント(【参考:楽天(4755)の三木谷社長、週刊新潮の記事に対し特別声明を発表】)
●9月28日
・週刊新潮の10月5日号にも再び楽天に関する「記事」が掲載され、こちらにも楽天側が反論(『参考:9月28日発売(10月5日号)の週刊新潮の記事について 』)
という流れになる。
実際に楽天の株価はこの過程で相当下落し、まさに「落転」した状態になっている。
一連の記事掲載前後の楽天の株価動向
あくまでも概算であり、また株価下落が今件を原因とするものばかりではないが、仮に8月29日終値(5万8700円)と昨日10月4日終値(4万3150円)の株価を比較して計算すると、楽天の時価総額は2000億円あまりも減少したことになる。
なお今回の提起はあくまでも8月31日発売の9月7日号に対し新潮社から「誠意ある対応が得られなかったため」のものであり、10月5日号に関するものはまだ提起されていない。状況に進展がなければ今件同様に、楽天側ではアクションを起こす予定としている。一方公式サイトを見る限り、今件については今のところ新潮社側からの反応はないもよう。
週刊新潮の記事を読んだ限りでは「~の話によると」という伝聞的内容がほとんどで確証を持つ情報ソースが明記されておらず、よくある「週刊誌的内容」で占められている。恐らくは「確かな情報源を元にした真実による報道である云々」という反論がなされると思うが、語られていることが果たして正しいことなのかどうかは今のところ不明である。
新潮側の主張が事実であれば週刊新潮でさらなる、確証度の高い記事が掲載され、それなりに今後状況が動くだろう。事実無根であれば(時間はかかるが)新潮側が頭を下げる事態になる。どちらにしても今後の展開を注意深く見守る必要がありそうだ。
(最終更新:2013/09/02)
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