週刊モーニングが入手困難な25作品を「ebookjapan」内特設サイトで配信開始、一部の無料立ち読みもOK

2006年10月28日 19:30

週刊モーニング特集サイトイメージ【京セラ(6971)】【凸版印刷(7911)】、各出版社が共同出資して設立したイーブック イニシアティブ ジャパンが運営している電子出版サイト【ebookjapan】で、講談社の週刊誌「週刊モーニング」が25周年記念として開設する特設サイト【週刊モーニング特集サイト】が10月23日オープンした。かつてモーニングから発売されていたものの絶版や品切れで入手が困難な25作品について、電子配信という形での提供が行われる。一部分を「立ち読み」することも可能(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

週刊モーニング特集サイトイメージこのサイトは元々専用のリーダー(ActiveX使用。サイト内でインストール可)を用いて文庫本や週刊誌のデジタル版を配信するという、ネット版総合書店として運営されている。今回、週刊モーニングが1982年に創刊されてから25周年を迎えるにあたり、今特設サイトが作られたもので、さまざまな企画が予定されている。その第一弾として用意されたのが、「現在単行本など紙の書籍での入手が困難な25作品の電子配信」。

また同時に、連載中の作品について単行本化されたものを一部ではあるが立ち読みし、作品の雰囲気を知ることができる。立ち読みできるページ数は作品によってさまざまで、例えば【ドラゴン桜】では一挙に48ページまで立ち読みが可能(第一巻。第二巻以降も順次配信予定とのこと)。リリースによれば講談社では連載中の作品を電子配信するのは今回が初の試みとなる。いわく、「電子配信をすることを、作品の露出機会と考え、作品の認知度が高まることで、本誌の読者層の拡大にもつなげていきたいと考えてい」るとのこと。

【配信一覧ページ】では準備中の作品もあわせ、新旧おりまぜたラインアップがうかがえうる。なお「紙の書籍での入手が困難な25作品」は次の通りとなる。これらの作品も立ち読みは無料で出来るし、電子出版・配信という形で購入が可能。

『BE FREE!』(江川達也)
『東周英雄伝』(鄭問)
『牛のおっぱい』(菅原雅雪)
『右曲がりのダンディー』(末松正博)
『ヨリが跳ぶ』(ヒラマツ・ミノル)
『ひまあり』(上野顕太郎)
『鉄人ガンマ』(山本康人)
『天のテラス』(小椋冬美)
『駅員ジョニー』(原作:末田雄一郎 画:高橋のぼる)
『ふしぎふしぎ』(山崎浩)
『アクター』(かわぐちかいじ)
『ギャンブルレーサー』(田中誠)
『鉄魂道!』(安田弘之)
『大阪豆ゴハン』(サラ・イイネス)
『宮本から君へ』(新井英樹)
『さばおり劇場』(いがらしみきお)
『気分は形而上』(須賀原洋行)
『大字・字・ばさら駐在所』(うえやまとち)
『万歳ハイウェイ』(原作:オサム 画:守村大)
『ぶたいぬ』(さだやす圭)
『代打屋トーゴー』(たかもちげん)
『風とマンダラ』(立川志加吾)
『未成年』(土田世紀)
『名犬リンタロウ』(永松潔)
『ドトウの笹口組』(若林健次)


現在単行本など紙の書籍での入手が困難な25作品
現在単行本など紙の書籍での入手が困難な25作品の一部。名作・有力作家の代表作などさまざま。ちなみに当方は現在連載中のモーニング誌の中では「へうげもの」がお気に入り、なのだが配信予定一覧に無い(涙)

現在も大活躍している有力漫画家のデビュー作や現在連載中のものにつながる作品、当時一世を風靡した作品など、実に多種多彩な作品が用意されている。ボリュームはさまざまなだが今のところ1冊分の配信はすべて420円で統一されているようだ。また、これから配信されるであろう作品(先の一覧に「COMING SOON」とあるもの)にも、「これは!」というものや「こんな作品をこの人は書いていたんだ……」と思わせるものが予定されており、期待させられる。

よほどの人気作品でない限り一度絶版になるとなかなか手に入りにくくなるのが紙媒体の単行本の「さが」というもの。古本屋を探してもメジャーどころでなければ容易に見つからないし、ネットオークションでは高値づかみをしてしまうかもしれない。出版社にとってはこのような状況は「再販して採算が取れるほどの数の注文は集まっていないから刷り直しは出来ないし、かといって在庫が無くなったら以後は門前払いでは機会損失になる」という、紙媒体独特のジレンマにおちいっている。

デジタル配信によるメリットと
メディア移行の傾向は
漫画もゲームも似たものどうし

漫画出版業界では読み手の趣味趣向が多様化し、よほどのビックタイトルでない限り1種類あたりの販売予想冊数が伸びず、再販すらかかりにくい現状。つまり「超売れるものは重版しまくりだが、大多数のそれ以外の本は初版刷りでオシマイ。しかもその初版ですらリスク回避のために少数しかすらない」という両極端・二極化構造が形成されつつある。

そこで今回のように、「少数のオーダーでも『出版』に応じられる」デジタル(電子)出版を実施することで、これまで対応しきれなかった「少数派」のニーズにも応えるようになれば、という思惑が講談社にはあるようだ。

これは何も漫画に限ったことだけではない。たとえばゲーム業界でも「大量生産が必要なロムカートリッジ」から「プレス加工によって安価にスピーディーで少数単位からの生産が可能なCD-ROM」に、さらに「説明書の印刷すら要らず配信側も最小限のリスクで提供できる、ソフト本体のマニュアル込みダウンロード販売」にソフト販売の流れが移行しつつある。それと同じような動きと見てよいだろう(ゲーム・漫画両方の選択肢としてケータイも挙げられよう)。

既存メディア(ゲームならロムカートリッジやCD-ROM、漫画なら紙媒体)にもメリットは多い。だが昨今のようにデジタルメディアが普及し、多くの人が利用できる以上、既存メディアがカバーできない「エリア」、言い換えればネットビジネスにおける「ロングテール」をカバーできる手段として、今回のような電子出版による方式は歓迎されるはずだ。

とりあえず問題とされる「いかに読みやすく※」「いかに安く、支払いやすく」「いかに『紙の本を買ったほうが良かったなぁ』と思わせない」などのポイントを解決することが、今後普及を促進し、同業他社に対してリードできるかの鍵となるに違いない。

※リーダーの重たさやページめくりなどの操作性、それになりより(コピー問題との兼ね合いもあるが)多環境での購読が基本的に不可能なのが紙書籍と比べると不便なところ。今サイトでのリーダーではパソコンが変わると基本的に読み込みが出来なくなる。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ