貸本1冊あたりの著作権料は265円から、レンタルコミックの著作権料支払い制度12月1日スタート

2006年10月03日 12:30

時節イメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によると【文化庁】では10月2日、コミック本などの貸本業者が作家側に一定の著作権料を支払う仕組みが12月からスタートすると発表した(文化庁内公式サイトでは公開の予定なし)。2005年1月に施行された改正著作権法に基づき、貸本業者側と著作権者側が協議を行い、支払額について合意したもの。

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合意によると、貸本一冊あたりの著作権料は次の通り。大量購入すれば値引きする措置もある。【具体的な金額設定はここにもあるが(PDF)】

・定価550円未満……265円
・定価1000円未満……480円
・以後定価500円加算ごと……320円追加

※貸与回数に応じて支払う場合には1冊1回毎に定価の8%


という形である。映画ビデオや音楽CDのレンタルではすでに、著作権者の貸与権が著作権法上で認められ、レンタル業者には著作権料の支払いが義務付けられている。たとえば【日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合の解説ページ】では、

●CDレンタル1回あたりの使用料
・作詞・作曲家:アルバム<70円> シングル<15円>
・実演家:アルバム<50円> シングル<15円>
・レコード製作者:アルバム<50円> シングル<15円>


と定められている(もっとも同ページでは「私的録音補償金制度が導入された現在、各権利者はユーザー及びレンタル店双方からコピーに関する代償を二重に受け取っていることになるため、CDレンタル使用料の早急な見直しが必要」とも訴えている)。

書籍や雑誌は零細な貸本業者を保護する目的で「貸与権」が認められていなかったが、近年、大手レンタル店の増加などで著作者の権利侵害が広がったとして文化庁が法改正した。

これに基づき当事者間で合意が8月末までになされ、8月31日に利用規定が【貸与権管理センター】から提出。一か月間の公示期間を経て先日、12月1日からのスタートが確定した。

CDの場合と貸本では貸し借りの状況が異なるため、1回毎ではなく1冊分で包括して(つまり何度貸し借りをしても)一定料金しか取らないあたりが大きな違いとなる(1回毎の支払いという選択肢もあるが……)。

とはいえ、1冊ごとに定価の5割前後という大きな額は貸本業者にとって、相当な負担になるに違いない。元記事でも貸本業者の窓口の日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合の話として「値上げは客離れにつながるので難しい。各店舗とも仕入れを減らすなどの経営努力で対応するのではないか」というコメントがあるが、頭の痛い問題。

インターネットカフェなどの複合メディア喫茶店にも多数の本が自由に閲覧できる形で置かれている。これらの本は店外への持ち出しを認めていないため、「貸本」には該当しないとのこと(日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合の談)で、こちらについてはまた別ルートで論議が交わされるのだろう。今件はこの「複合メディア喫茶店」へのアプローチのための布石なのかもしれない。

ゲーム業界でもレンタルに関する問題は議論の的であり、最近その問題の解決案のひとつとして、【コーエーネット(2697)】が新事業「レンタネット(RentaNet)」をはじめている。模索の状態が続いているが、こちらのゲーム業界でも新しい動きがあるという推測もできよう。


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