10年前の3割減・雑誌セールスは減少の一方で単行本の売行きは過去最高

2006年10月28日 07:30

時節イメージ【日本貿易振興機構(JETRO)】は10月26日、【2005年度版 日本の出版産業の動向】を発表、その中で漫画の単行本の売上が過去最高額の2602億円(前年比+4.2%)となり、はじめて雑誌の販売額を上回ったことを明らかにした。

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単行本のセールスが伸びたのは、『ドラゴン桜』や『NANA』『花より男子』を例に挙げられるように、映画やテレビ、CDなどのメディアミックス戦略が成功したのがその理由としている。他のメディアで紹介され知名度を高めることで、販売冊数を押し上げたわけだ。

その一方、雑誌の売上は減少を続け、結果として(単行本と雑誌を合わせた)漫画出版全体では売上は前年比-0.5%の5023億円、発行部数は-2.6%の13億4874万部となり、市場縮小の傾向を食い止めることはできなかった。特に漫画雑誌の市場規模が10年前と比較すると約7割にまで減少している(はじめて雑誌の販売額を上回った)のが注目される。

レポートでは販売額減少の理由のひとつとして、「新古書店、レンタル店の利用増加」を挙げている。つまり

新刊が発売後数日で安価に利用できることが、漫画単行本、雑誌の販売額減少に響いている。また、漫画喫茶の増加により、漫画を購読する消費者が減少したことも大きく影響している。


ということのようだ。一方でレポートでは今後の業界の展望について

・メディアミックスによるマーケティング手法はいまだに有効
・携帯電話との連携は漫画市場に大きな福音をもたらす可能性を秘めている
・海外からのニーズが急増。今後相乗効果も期待できる

とし、業界の方針次第で明るい展望が開けうることを指摘している。特に携帯電話がらみでは、携帯小説から書籍化された作品がヒットセラーになるなど「コンテンツの有効活用」という点でも注目を集めている。

今レポートではインターネットを利用した電子書籍や携帯電話を用いたデジタルブックが普及しはじめた昨今において、ターニングポイントを迎えつつある出版業界が今後いかに進むべきか、その鍵が秘められている内容が盛り込まれている。単純に「こんな本が売れているんだ、それじゃ自分も見てみるかな」と新たな興味を持って本を探す素材とするも良いし、今後どのような世界が雑誌業界に開けるのか想像する材料として目を通すのも良いだろう。

下記に、同レポートで紹介されていた2005年度書籍年間ベストセラーのうち、実用書のトップ2冊と、「ケータイ小説」から書籍化されたトップ2冊をピックアップしてみた。何らかの参考になれば幸いである。

(最終更新:2013/09/15)

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