アメリカのワーナー、著作権付映像のYoutubeへの第三者による投稿を容認
2006年09月19日 19:30
【NIKKEI NeT】によるとアメリカの音楽大手の【ワーナー・ミュージック・グループ】は9月18日、アメリカの動画投稿サイト【Youtube】との提携を発表した(【発表リリース】)。ワーナーが著作権を持つ音楽ビデオなどを利用者が自由にYoutubeに投稿することを認める代わりに、広告収入を両社で分配する。メディア企業が自ら投稿するのではなく、著作権付の映像の第三者による投稿を容認するのは(少なくとも音楽・映像会社としては)これがはじめてとなる。
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すでに御存知のとおりYoutubeの投稿動画の多くは、著作権保有者から使用許諾を得ていないテレビ番組や映画など。メディア企業では著作権侵害を助長するとYoutube側の運営や方針を非難し、映像の削除を求めている。しかしワーナーはビデオなどの投稿を規制するのが困難と判断、投稿を認めて広告収入を得る戦略に切り替えたことになる(なおリリース原文を読む限り、具体的な支払い額やその算出方法は非公開。アクセス記録などの提示はあるようだ)。
ワーナーでは所属のマドンナらタレントの音楽ビデオ、インタビュー映像など利用者が個人的に保有するコンテンツを投稿することだけでなく、独自に制作したビデオ映像にワーナーの音楽クリップや楽曲を挿入することも容認する。つまり(常識的・良識的な範囲でなら)俗に言う「MAD」と呼ばれるアレンジタイプの動画の投稿も許諾することになる。
Youtubeではすでにアメリカの三大ネットワークのひとつ【NBC(National Broadcasting Company)】が独自アカウントを持ち自社の番組のプロモーションビデオを配信するなど(【例:Biggest Loser -- Preview(ダイエット関連の番組らしい)】)、Youtubeを毛嫌いするのではなく、新しいインフラ・メディアとして有効活用する動きが出ている。また日本でも【東京MXTVがコンテンツをYoutube上などに自ら投稿する】など、積極的な活用方法を模索する動きが出ている。
日本のワーナーではこの発表への対応の動きは無く、日本国内からの投稿についてはこれまで通りの姿勢が保たれると思われる。
ただ、大手のワーナーが料金を配信管理運営元のYoutubeから徴収する方法を採り第三者投稿を容認する方針を決断したことで、今後同様の動きがアメリカ内外を問わず他社に波及する可能性も十分に考えられる。
今後の各社の動向次第では、Youtubeのいわば「グレーゾーン」とされていた部分がクリアになる可能性は高い。さまざまな可能性を持つだけに、状況の進展に期待したいところだ。
[追記]
英文リリースを精査した限りでは、2006年までに登録コンテンツの自動認識とレポートのシステムを今年待つまでに導入し、そのレポートを元に映画や音楽、テレビ局業界と提携していく計画を立て、その第一弾としてワーナーが提携先としての名乗りをあげたとのこと。
具体的にはYoutobeに登録されている各種コンテンツの中に、著作権所有側が保有し登録してあるコンテンツの内容を含むかどうかなど(重複、一部重複など)のツールが各提携会社に提供される。会社側はチェックにかかった登録コンテンツに対し、そのコンテンツの登録を許可するか、あるいは著作権料を徴収するかを決定できる。また著作権料を徴収する選択をした場合には、トラッキングシステムなども提供される。
今回のシステム開発と提供が、どこまでの精度のものなのかは現在のところ不明だが、場合によっては著作権上問題のある動画が「問題だ」と認識する著作権所有側のチェックによってかなりの精度で削除される可能性もある。
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