薬の効かないがんに「薬が効くようにする方法」発見

2006年09月25日 06:30

時節イメージ【中日新聞】などが報じたところによると、抗がん剤が効かなくなる耐性をがん細胞に持たせる遺伝子のひとつを【国立がんセンター研究所】【大阪府立成人病センター】のグループなどが特定した。この遺伝子の働きを抑えることで抗がん剤の効き目を回復させられる可能性があるという。

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がんの中でも特に乳がんの場合、患者の半分ははじめから抗がん剤の耐性を持っていたり、抗がん剤による治療を続けていくうちに効果が無くなって再発するケースとされ、抗がん剤の耐性問題の克服は大きな課題となっている。

元記事によると今回研究グループは「RPN2」と呼ばれる遺伝子が、がん細胞の内部から外部へポンプのように抗がん剤をくみ出すたんぱく質の働きを調整していることを発見。マウス実験でRNA干渉と呼ばれる手法を用いてドセタキセルという薬が効かなくなった薬剤耐性乳がんに対して「RPN2」が働かないようにしたところ、抗がん剤が劇的に効くようになり、直径5ミリの大きさだったがんが7日で1ミリ以下にまで縮小したという。要は抗がん剤の働きを邪魔する「RPN2」をストップさせて、抗がん剤を再び働きやすくさせる、という方法。

今回の手法は薬剤耐性がんの新たな治療法につながるとして期待されている。研究成果は9月30日に、神奈川県横浜市で開かれる日本癌学会で発表されるとのこと。国立がんセンター研究所の落谷室長は「人での安全性を確かめた上で、さまざまながんで治療法の確立を目指したい。抗がん剤の投与量を減らし副作用を軽減する効果も期待でき、患者によっては外科手術が不要になる場合もありそうだ」とコメントしている。

「抗がん剤が効かなくなった、どうしてだろう」「抗がん剤を何らかの要因が邪魔しているに違いない」「ならばその邪魔している要因を取り除けば、再び抗がん剤が効くようになるのだろう」という推論を元に進められ、成果を導き出したのが今回の研究。単純そうに見えるが、そこにたどり着くまでには実に数多くのトライ&エラーがあったものと思われる。

今研究の成果が人間にも活用され、副作用の問題がクリアできれば、がんの部位を取り除く外科手術を行うことなく抗がん剤の治療で、がんを治していくことにもつながりうる。今後のさらなる研究に期待したいところだ。

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