ネットワークゲームの課金、これまでとこれから(上)
2006年09月23日 20:00
先日9月22日から始まった東京ゲームショウでは、さまざまな新作ゲームや次世代据え置き型ゲーム機の新情報が報じられ、ゲーム業界は何かと騒がしい状況下にある。一応(笑)「株式投資を中心に」と銘打つ当サイトでも【コナミ(9766)、マネックス証券やドリムーバイザードットコムの協力でニンテンドーDS用株式売買シミュレーション『カブトレ!』を12月14日に発売】などのように投資に関係するゲームが発表されるなど、注目したいものはいくつかある。だが、ゲーム関連の速報は他の専門サイトにお任せするとして、ここでは「ネットワークゲームの課金スタイル」についてまとめてみることにしよう。
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これはゲームショウ内で開催されたパネルディスカッションのひとつ、【ビジネスモデルの多様化が進むオンライン市場】でも語られていた内容。現在多数の企業が関わり、ネットワークゲームの運営をメイン事業として上場する会社も出てくるほどの規模を持つビジネスについて、と銘打てば格好がつくだろうか。ちなみに携帯電話のコンテンツも「ネットワークゲーム」「課金」という観点からすればここに含めるべきではあるが、料金体系やプレイスタイルがまったく別物なので今回は対象外とする。
ネットワークゲーム、特に多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲーム(MMORPG)では、黎明期における収益モデルは「クライアントソフトを購入させる」「サーバを利用する料金として月額使用料を徴収する」という二段階方式を採用していた。クライアントソフトの売り上げで開発費の大部分をまかない、月額使用料で開発費の残りと運営費をねん出する方法だ(もちろん利益もそこには含まれる)。
多人数同時参加型ネットワークゲームが普及しはじめたころの課金スタイル
このスタイルでは初期投資費用が「通常のソフトと同じくらいの価格」であり、さらにそこに「月額使用料を支払う」という、普通のソロプレイゲームと比べると多額の出費を強いられることから、金銭的なハードルが高いのが難点だった。そのハードルを飛び越えてもプレイしたいという魅力があればこのスタイルでも問題なく運営できた。この時期に登場した『ウルティマ オンライン』『エバークエスト』などが良い例だ。
しかし雨後のたけのこのように似たようなゲームが乱立すると、特に後発組はこのスタイルでは運営維持が困難になる。クライアントソフトが割高に見えてしまい購入者が少なくなれば、会員も少数になり、運営費すらまかなえなくなる。会員が少なくともある一定の固定費はかかるから赤字になり、サービスを終了せざるを得なくなる。こんな状況に追い込まれたネットワークゲームが相次いだ。
そこで登場したのが、会員になる際のハードルを低くする方法、つまり「はじめの一歩を踏み出しやすくする」というもの。具体的にはクライアントソフトをきわめて安価、あるいは無料で配布(店頭配布、あるいはダウンロード形式)し、基本使用料金も無料にする。ゲームの雰囲気を楽しみ、一定レベルでのプレイで満足するのなら、プレイ料金はタダ。そして、ちょっとした拡張機能やイベント、アイテムを手にいれるなど、ゲームプレイにプラスアルファを求める際に課金をするというものだ。
実際のお金を払って手に入れるアイテムなどの特典は、ゲームを有利にしたり見栄えをよくしたり他人にはない機能を充実させるもので、プレイヤーの顕示欲や物欲を刺激する。代金も少額だからついつい支払ってしまう。これもWebMoneyやクレジットカード、プリペイドカードなど少額課金システムが普及したからこそ出来たもの。
現在主流の課金スタイル
会員数が集まり一定量のコミュニティーが形成されるようになると、実社会と同じように宣伝広告の効果も出てくる。すでにアメリカでは相当数の企業が動いている。日本でも、たとえば【オプト(2389)、オンラインゲーム内広告やポスター提供の広告商品を販売】のよういくつかの代理店が具体的な事業を始めている。また、ゲーム運営会社独自で自社ゲーム内を宣伝媒体として活用し、実際の商品とのタイアップを図る場合もある(【ガンホー(3765)、『TANTRA』内アイテム取得チケット付きのカレー販売開始】が良い例)。会員が増えればアイテム課金による売り上げも増えるし、広告宣伝媒体としての価値も上がり広告展開の道も開ける。IT事業にありがちな「損益分岐点を超えると加速度的に売り上げ・利益が増加する」の典型的なパターンだ。
(続く)
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