損害保険業界で不払い問題続発から特約再編の動き

2006年09月02日 18:35

[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]によると損害保険(損保)業界で保険金の支払いもれ・支払いしぶりが相次いだ件で、大手損保会社の間では損保の特約の再整理と絞込みの動きが広まっている。支払いもれを招いた原因が、特約の数が増えすぎて体系が複雑化した点にあると思われているからだ。

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損保業界では保険金を契約どおり支払わなかった問題、俗に言う「支払いもれ」「支払いしぶり」が多数見つかり、【損害保険ジャパン(8755)】【三井住友海上火災(8752)】が保険販売の一部停止を含む厳しい行政処分を受けている。今件で矢面に立っているのが「特約」。「特約」の種類が増えすぎている現状が支払いもれを後押ししたと分析した大手損保側では、特約の再整理と絞りこみの動きが広まっている。

「特約」とは簡単に説明すると「保険のオプション」。特別契約のことで、基本となる保険契約に追加するさまざまな契約のことを指す。それ単独では契約をなしえず、あくまでも「追加要項」としてはじめて存在できる契約である。旅行のオプショナルツアーやカレーのトッピングのようなものと思えばよい。損保大手側の考えとしては、「オプショナルツアーの種類が多すぎて旅行代理店側も把握しきれ無くなった」「トッピングが増えすぎて店員も覚えられず、お客の注文に応えきれなくなった」というところか。

三井住友海上火災では自動車保険において100種類ほど用意されていた特約のうち、30種類を減らしたほか、【日本興亜損害保険(8754)】でも45種類の自動車保険特約のうちゴルフでホールインワンを達成したときの祝勝会費用特約など21種類の特約を廃止。【あいおい損害保険(8761)】も6種類の廃止を決めており、この特約の統廃合整理の動きはさらに広まりそうとのこと。

保険の特約は、元々基本契約だけでは対応しきれない個人のニーズにフレキシブルに応えるため創られたもの。ある程度の細かさは必要かもしれないが、「特約の多さが保険の特徴でありメリットでありセールスポイントである」という、ゲーム業界におけるゲームソフトのスペック過多主義と似たような錯覚にとらわれていた感がある。

「なんで自動車保険にホールインワンの祝勝会費用特約が関連するんだ」といった、一歩引いて冷静に考えればツッコミどころ満載な特約もあり、見直しの動きは当然といえるだろう。もちろん「ホールインワン保険」単独ではお客を集めにくいので特約としてなら……という思惑もあったのだろうが。

もっとも数々の「特約」の存在も、特約をつけることで保険料金が上がり、それにも関わらずいざという時になって保険金が支払われないから問題となる。特約を勝手に色々とつけてサービスの枠を広げ、契約者の安心度合いを高めるのは一向に構わない。先の例なら「カレーのサービスとしてトッピングにコーンとウインナーを勝手につけてくれて、値段は同じならば大歓迎」というところ。

本来「特約」とはそういうサービス精神的意味合い・主旨が強かったはず。いつの間にか高価値化するための道具として用いられ、振り回されてしまったのが一連の結果というよう。


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(最終更新:2013/08/26)

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