非常時に食べる非常食、高齢者や食事制限を持つ人の悩み

2006年09月02日 12:30

非常食セットイメージ前日に多少大きな地震が関東地方を襲ったものの、9月1日当日に大地震が起きるという間抜けな話もなく、多くの人に災害時の備えを再確認させて今年の防災の日は終わった。これと前後してNHKで災害時の非常食についての小特集があり、自分自身の経験や考えていたことともあわせ、少々まとめてみることにする。

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地震などの際にすぐに持ち出せる「非常持ち出し袋」に収められているであろう「非常食」は缶詰や乾パンなど、日持ちするものが多い。最近ではインスタントものも用意されるようになった。『アマゾンでもいくつか非常用商品の特集が組まれている』。

ところがこういった「非常食」は保存性を第一に考えているため、高齢者や病気の人にとってはとっつきにくい、あるいは食事制限上なかなか口に出来ないものが多い。先の新潟県中越大地震やアメリカのタイフーン被害の報道でも目についたのだが、非常用食糧や、コンビニなどから提供されたパン・弁当・カップめんなどは得てして高カロリー・高塩分のものが多く(前者は少量で必要な栄養を採るために工夫されているのだから当然)、結果として糖尿病などの内臓疾患の人、油モノや塩分をひかえたい高齢者には「食事を得られるのはありがたいけど、けど……」という状況があちこちで見受けられた。

実際、新潟県中越大地震では避難時の食事は高齢者などには負担となり、食事が原因で次第に元気がなくなっていく人が多いという調査結果も出ているという。

そこで最近では、高齢者や病気の人でも安心して食べられるような非常食の開発が進められている。ニーズに応える形で、非常用食品もこれまでの「ただ食べられればよい、長持ちすればよい」というものから、食べやすさやおいしさに重点を置いたもの、そして高齢者や病気の人に配慮した内容のものが増えている。

火や水を新たに用意することなく、同梱されている水と発熱剤を用いて温かい食事を提供する(温かい食事は避難生活でのうるおいと活力を与える)商品や、通常のご飯よりたんぱく質がかなり抑えられている、腎臓病患者向けの非常食ご飯も発売されるようになった。

また、牛乳や卵をはじめとした食品アレルギーを持つ人にも非常食への問題はある。このアレルギー向けの、つまりアレルギー反応を示す食品が入っていない非常食の開発も進められているという。

低たんぱく高カロリー食品セットイメージNHKの番組ではこれらの「高齢者人向け」「たんぱく質や塩分、食品アレルギーなど各種食事制限者向け」非常食の備蓄も少しずつではあるが、公共団体レベルで始まっているという話だった。

個人的なレベルで実体験にて説明すると、ネフローゼ症候群において食事制限の対象となる「たんぱく質」と「塩分」は、いずれも通常の非常食やコンビニ食では多めに含まれており、仮に何らかの災害で避難生活を強いられた場合、かなり困難な状況におちいってしまうのではないかという不安がある。

幸い、元々これらの栄養成分を制限した「療養食」はパッケージ化されていることが多く、そのまま非常食として備蓄することも不可能ではない。自分もよく利用しているDr.ミールヘルスケアでは、『低たんぱく高カロリー食品セット』という名前で、災害時などの非常食としても使える食事セットを提供している。こういう気配りはありがたい。ただ、通常の非常食と比べると賞味期限が短めのものが多く、ローテーションを組むのが大変ではある。

食品アレルギー体質の人や高齢者の人、そして自分と同じように色々な理由で食事制限をしなければならない人の中には、こういう非常食の存在を知らない人も多いだろう。今回の記事に目を通し、一人でも多くのそういう「まだ知らずに不安を抱えている人」が「こういうものもあるんだ、と情報を得て安心し、自分でもそろえるようになった人」になれば幸いである。


(最終更新:2013/09/16)

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