mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その1「なぜ」と「理由」

2006年09月08日 23:00

先に掲載した【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、進行中】の記事は多くの方々からご反響をいただいたようで、当方としても正直なところ驚いた。会員が500万人にも達しようかという一大コミュニティにおいてあれだけ大規模な形で進行中の状況について、どこも詳細に語られてなかったので「どれ、トーシロな観点で申し訳ないがメモ書き代わりにまとめてみるか」といった気分でしたためた記事が、あそこまで注目されるとは思わなかったからだ。

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なぜ多くのmixiユーザーが「はじめて知ってびっくりした」のか……SNSの構造面から

紹介された記事をチェックしてみると、そのほとんどが「こんなのあったなんて知らなかった」という感想。その事実に驚き、そして「注意しよう」「気をつけよう」と喚起をするものだった。一言で表現するのなら「初耳」。

これはmixiをはじめとするSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、紹介制によるネット上のコミュニティシステム)が、構造的に「mixiという大きな団体としてひとまとまり」という他のネットコミュニティとは違い、「mixiなる団体には属しているが、不特定多数のミニコミュニティの集合体」に近いスタイルを確立しているからだ。

例えるのならこれまでのネットコミュニティが「埼玉県民や東京都民でもあるが、むしろ日本人だ」という日本的考え方というより、「アメリカ合衆国民ではあるが生まれも育ちもカリフォルニア州よ」という、アメリカ的考えに近い、と表現すれば分かるだろうか。学校ならば「自分は●×高校の生徒だ」がこれまでの、「自分は●年×組の一員だ」とするのがmixiでのとらえ方と見ればよい。そもそもSNSとは元々「たくさんの秘密クラブの集合体にしてシステムの提供」に過ぎない。最近は有言無実になりつつあるが、そういうことだ。

既存のネットコミュニティとmixiなどのSNSのコミュニティの違い
既存のネットコミュニティとmixiなどのSNSのコミュニティの違い。後者の方が個々のグループ内の結びつき・一体感が強い

そのように考えれば、自分の属さないコミュニティで進行している「情報ねずみ講」のことなど知る良しもない。これは当然。ただ、自分が所属しているコミュニティに彼らがやってきたとき、はじめてそれに気がつくことになる。

mixiで「情報ねずみ講」が広まった、その理由……SNSそのものの特質から

9月8日、【FPNにおいて「情報ねずみ講」に関する解説が掲載されていた】。詳細は元記事をご参照いただくとして、「なぜmixi内で情報ねずみ講が流行ったのか」について分析が行われていたのでここで概略を引用する(※)。

・穏やかな環境と居心地の良さ
・仲間という群れの存在
・軽い宗教性


一言で例えれば、パソコン通信華やかなりし頃の、大手パソコン通信サービス(Nifty-Serveやサンデーネットなど)にも存在した「村社会的世界観」のようなもの、というところ。オープンスペースもあるし、会員限定のクローズドなコミュニティも作れる。似たところが多い。

さらにmixiには過去のログを長期間保存しないという前提・しきたりのようなものがあり(一般無料会員のメールは一定期間が過ぎるとクリアされる、など)、いつ行っても新鮮味を味わえるという奇妙な、そして奇抜でコロンブスの卵的特長がある(このあたりは日をあらためて記事にしよう)。

かつてパソコン通信サービス上でも似たような話はいくつかあったが、「パソコン通信」そのもののハードルが高かったため、それほど問題にはならなかった。今回は現在ではハードルが比較的低いインターネット上で進行中、しかも会員が500万人という大規模なコミュニティ上での話なため、浸透度も早く、当然問題性も高い。

「歴史は繰り返す、ただし同じにあらず」というところか。

【その2に続く】


■一連の記事:
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その1「なぜ」と「理由」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その2「仕組み」と「収益構造」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その3「問題点の指摘」】


※ちなみに「マスコミから取材を受けた」とあるが、当方も似たような形のものは受けたものの、非常にあっさりとしたものだった。権威の違いですかね、やれやれ。頑張らなくちゃ、な

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