「伝統的大企業がIR活動を積極的に行うと中長期的に株価は上がる」との調査結果
2006年09月21日 19:30
【大和證券グループ(8601)】の研究機関【大和インベスター・リレーションズ(大和IR)】は9月21日、【慶應義塾大学大学院経営管理研究科】との共同研究の成果として、【IR活動の効果と企業価値(PDF)】を発表した。それによると、IR(インベスター・リレーションズ、Investor Relations)活動は伝統的な大企業が効果的に行うと、2年から3年の期間では株価にプラスの効果をもたらすという検証結果が明らかになったという。
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両社はこれまでIR活動と企業価値(株価)の因果関係に関する実証研究がほとんど発表されていないことを受けて、IR活動の積極化や証券市場の透明性の高まりを期待する意味もあわせ、共同研究を実施。企業が個人投資家層に対して働きかけるIR活動が株価にどう変化を与えるかを検証した。
検証データには大和IRが分析し採点したものを用い、2003年から2005年にかけて各企業のIRの良し悪しに関する得点の変化が、株価の変化にむすびついているかどうかを調査した。
その結果、
・伝統的な大企業の場合はIRサイトが改善されると、2年から3年という期間では株価にプラスの影響がある。
・新興企業の場合はIRサイトと株価の間には正の相関関係が見られなかった。
という結果が出た。つまり「伝統的な大企業がIRサイトを改善して情報発信に積極的な態度をとった場合、長期的に株価が上昇する可能性がある」ということになる。
大和IRでは「今回の研究により、これまで株価への成果がはっきりと見えなかったIR活動について、長期的には効果が有る可能性がある」(ああややこしい)ことが提示されたとしている。
リリースに掲載されているのは概要的な結果だけで、具体的にどのような数字が算出され傾向としてまとめられたのか、データが一切掲載されていない。各企業の評価付けはその企業自身の企業価値・「格付け」と見られる場合もあり、そう簡単に掲載するわけにはいかないことは理解できる。とはいえ、IR行動の効果の有無についての検証という希少なデータなだけに、一部分でもよいから是非とも公開してほしいものだ。
それにしても、「新興企業はIRのサイトで積極活動をしても株価には連動しない(表現からむしろ負の相関関係があるようにすら見受けられる)」というのはある意味衝撃的。どう解釈すればよいのか、判断に困るところだ。
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