アメリカのアレルカ社、猫アレルギーの人でも安心して飼える猫「hypoallergenic猫」を遺伝子組み換えで「開発」
2006年09月19日 07:00
アメリカの【アレルカ】社は9月18日までに、世界初となる低刺激性の猫「hypoallergenic猫」を発売すると発表した。バイオ技術を用いて遺伝子組み換えを行い、アレルギーの原因となるアレルゲン物質の発生を抑えるため、ペットアレルギーを持つ人でも影響を与えないという。同社ではまずブリティッシュ・ショートヘア種に対して繁殖を進め、2007年から発売を開始する予定(【参照:テクノバーン】【アレルカ社発表リリース】)。
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世界中には何百万人もの猫アレルギーを持つ人がいる。猫アレルギーは目や鼻、耳、のど、肺、皮膚に影響を与え、かゆみやクシャミなどさまざまな症状を発生しうる。喘息の原因にもなる。それでも猫を飼っている猫アレルギーの人は、猫アレルギー全体のうち1/3にも及ぶという(つまりアレルギーの発生を我慢してでも猫を愛しているということ)。薬や治療で猫アレルギーを抑える方法もあるが、時間がかかり、コストも高くつく。
アレルカ社のリリースによると、今回「開発」された「hypoallergenic猫」は猫アレルギーに反応する物質を対外に出さないよう遺伝子操作を行い、「猫アレルギーの心配が不要な猫」を産み出したとのこと。
遺伝子操作で猫アレルギー物質を発しない「hypoallergenic猫」
価格は基本料金が3950ドル(約45万円)。各種アレルギーテストや猫の飼育のための各種アイテム、1年間の保証契約、健康診断書などが付随する。ただし料金支払いから実際に猫を受け取るまでにはしばらく(最長で2年前後)かかるという。プレミアオプションとして、この待ち時間を短縮するためのコースも用意されているが、こちらは料金が付加されて5900ドル(約68万円)となる。アメリカと一部諸国以外への輸出の場合にはさらに1000ドル(約11万5000円)が追加される。
今件については「猫アレルギーがひどいけど猫をどうしても飼いたい」という人のニーズに答えるという意味では画期的だが、「遺伝子操作をしてまで飼う必要があるのか」とする意見も多い。また、これら遺伝子操作された動物が野生化した場合、自然界に与える影響は無視できず、これまでこれらの動物が一般向けに販売されることは少なかった。テクノバーンも指摘しているように、【環境省】でも台湾で開発された、くらげの遺伝子を組み込んだ「光るメダカ」について、自然界に与える影響を考慮するなどの理由から2006年2月には自主回収命令が出ている(【発表リリース】)。
当方(不破)も無類の猫好きなだけに、「猫アレルギーでも猫を飼いたい」という愛猫家の気持ちは分からないでもない。しかし「神の手による生物の設計図」たる遺伝子を書き換えてまで、人間の欲望を満たすための愛玩動物を「開発」して繁殖させても良いものかという問いには、正直首を傾げざるを得ない。今後さまざまな方面で論議が交わされることとなるだろう。
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