F14トムキャット戦闘機、現役から完全引退

2006年09月27日 06:30

F14トムキャット戦闘機イメージアメリカ海軍所属の戦闘機としては20世紀終盤において最強の座をほしいままにし、可変翼をはじめとしたさまざまな特徴を持つことでも知られていた艦上戦闘機F14トムキャットが7月28日をもって全機を退役させていたことが明らかになった(【NavyTimes.com】)。

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F14戦闘機は1973年から実戦配備が始まった、主に艦隊防空用としての任務を負うべくグラマン社でF4ファントム戦闘機の後継機として開発された、副座(二人乗り)艦上戦闘機。純粋な空対空戦闘を主任務としたため対戦闘機能力では搭載されている「AIM-54 フェニックス空対空ミサイル」をはじめとする各種装備などの威力もあわせ、絶大なる対空力を艦隊に保証するだけの力を持つ。

F14トムキャット戦闘機イメージしかし可変翼やフェニックス使用のための装備などあまりにもゴージャスな性能を持たせたために価格が高騰、アメリカ海軍以外では王政時代のイラン空軍のみが引き受け先となった。また、性能に余裕があったことなどから対地攻撃能力ものちほどになって付加され、「トムキャット」ではなく「ボムキャット」と呼ばれることもあった。

同機の独特のフォルムや高性能さから多くの戦闘機ファンの注目のまととなり、またさまざまなドラマや映画の素材としても使われている。映画『ファイナル・カウント・ダウン』や『トップガン』、そして漫画『エリア88』に登場する勇姿を思い浮かべられる人は多いだろう。日本の航空自衛隊でも機種選定時の選択肢のひとつとして選ばれたが、主にコストの面においてF-15イーグルに敗れ去っている。

F14は航続距離の長さと柔軟性などから重宝されてはいたが、メンテナンスの困難さやコストパフォーマンスの問題から、F/A-18戦闘攻撃機への機種転換が進められていた。そして最後に残ったVF-31戦闘機隊も7月28日には所属する航空母艦セオドア・ルーズベルトから下ろされ、アリゾナ州ディヴィス空軍基地に移動され保存される。

F14はベトナム戦争での参戦を皮切りに、1981年での対リビア作戦、湾岸戦争、アフガニスタン紛争などで活躍をしている。ついに(喜ばしいことに)当初想定されていた旧ソ連空軍とのドックファイトは経験することなく現役を退くことになる。

「F14トムキャット」というと『大戦略』系シミュレーションゲームでは「やたらと航続距離が長くて対空戦闘力と射程距離が長い防空の要」という印象が強い。ソ連軍機などを相手に縦横無尽の働きをゲーム上や映画、小説上でした同機が、現実の世界ではあまり活躍の場を与えられなかったことは、ある意味幸せな証だったのかもしれない。

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