アメリカのアマゾンでビデオのダウンロードサービス「Amazon Unbox」正式にスタート
2006年09月08日 12:30
一時期試験パターンの画像が世に出回り正式スタートはいつなのかと噂されていた、ネット通販システム・アマゾンにおけるビデオダウンロードサービス【Amazon Unbox】が正式にスタートした。今のところアメリカの本家アマゾンだけのサービス(【参照記事:Engadget Japanese】)。
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アマゾンは基本的に「実物」を通販で販売するネットサービスだが、このようなデータのダウンロードサービスは珍しい。現在Windows限定の専用プレイヤーソフトをインストールして利用する。ファイルサイズは1時間番組で1.2GB程度とのこと。画質は「DVDクオリティ」とあるが、DVDの元画がどれくらいなのかということも考えると一概に高画質とは言い切れないかも(もっともサンプル画像を見る限りかなり画質は良かったとも付け加えておく)。
Amazon Unbox
用意されている動画はスタジオ別では20th Century Fox、Fox Searchlight、Paramount、Sony、Universal、Warner Bros.など。元記事でも指摘されているが、ディズニーは不参加。映画のほかにテレビ番組各種(CBSやBBC、コメディセントラル、ディスカバリーチャンネル、MTVなど)、「デジタルデータ提供としては初となる」スタートレック、「世界中からコンテンツを集めましたよ」とコーナー名で銘打っておきながらそのラインアップにはガンダムシードをはじめとする日本アニメが勢ぞろいという愉快な(そしてアメリカのニーズにマッチした)品揃え。
価格は長編映画の売り切りタイプが10ドルから20ドル、テレビシリーズは30ドル前後(中には「24」のような人気番組で40ドル近いのもある)。レンタルは4ドル前後、テレビ番組の場合は1.99ドル。レンタルは落としてから30日か、再生してから24時間のいずれかがリミットになるとのこと。複数のポータブルプレイヤーに対応しているとのことで(iPodには対応しない)、視聴者の幅を広げる意味合いもありそうだ。
Youtubeをはじめとするアップロードポータルや、廉価版のDVD(日本では500円などというのもある)が流通している中、ダウンロードという「実物がないデータだけの販売」に20ドル前後を払うかどうかは微妙なところがある。
むしろ注目点はこれが「アマゾンで取り扱われている」ことにあるといえる。つまり他の一般商品同様にアマゾンで購入できるし、ましてやネット上で多くの人に紹介されうる。アマゾンにしてもコンテンツ供給会社にしても「きわめて強力なセールスポイント」となるのは間違いない。映画の評論サイトやコミュニティにとっては素晴らしいツールとなりえるだろう。
想像してほしい。ある話題の映画に関するレビューが書かれ、コメントがいくつもつけられている。読んでみるとみんな面白い、ぜひ見るべきだと推薦している。これまでのアマゾンやその他ネット通販サイトの場合、そこに商品購入のリンクをつけても実際にそこ経由で購入したところで手元に届くのは数日後。読んだ直後の「見たい」という情熱は醒めている。
だが、この「Amazon Unbox」でなら、その場ですぐに「購入する」ボタンを押し、ダウンロードの時間を少々待つだけ。それこそコーヒーを作りに台所まで行き、端末の前に戻ってきた時にはすでに「見たい」と思った映画が画面上でスタートしている。
ネット通販での「購入欲」をダイレクトに刺激する、ある意味非常に「危険」(笑)な商品といえるこの「Amazon Unbox」、日本ではまだ予定はないようだが、ぜひ日本版もスタートしてほしいものだ。
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