「3割の事業所が厚生年金未加入」、将来267万人が厚生年金を受け取れない? ……総務省発表

2006年09月15日 19:30

株式イメージ【総務省】が9月15日に発表した【厚生年金保険に関する行政評価・監視結果に基づく勧告(要旨、他は総務省サイトから参照のこと)】によると、厚生年金への加入義務がある事務所のうち、適用漏れのおそれのある事務所、つまり加入手続きを取っていない事務所が約63~70万件にのぼることが明らかになった。これら事務所の従業員約267万人が将来年金を受け取れない可能性がある。これは本来年金制度が適用される人数の約7%に相当する。

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租税公課の未納問題では最近特に国民年金について問題視されているが、実は国民年金と同じぐらいに事業所の厚生年金も未加入問題が悪化の方向で進展している。

厚生年金はすべての法人、または従業員を5人以上かかえる個人事業所に加入義務がある。しかし保険料は従業員と法人で半分ずつ負担するので、負担を嫌う中小の事業所では加入逃れが問題になっている。監督官庁でも加入漏れ・加入逃れの把握に苦心しているが、個人事業所や小規模の法人の開廃業の動きが激しいため、全体像はなかなか把握できない。

総務省ではこのような事態を受けて、年金制度の維持のためにも加入漏れの事業所・被保険者の把握につとめ、厚生年金保険に加入させる努力をさらに重ねることが重要であるとしている。

また勧告の中では電算システムが導入されているにも関わらず社会保険庁が有効に活用していないことを指摘。中には登記情報をまったく閲覧していない社会保険事務所もあったという(13事務所)。これについては各電算システムを常用効率使用ができるよう構築することを要請している。

「制度として義務化されている厚生年金に加入していない事務所が分かるのなら強く指導すればいいではないか※」と思うかもしれないが、こちらについても勧告書では「目標を定めていない」「効率的な指導計画が作られていない」「手順が定められていない」と、これまで何をやってきたのかと突っ込まれても返事できないような調査結果を報告している。

ほかにも勧告書では「初歩的なことばかり勧告書では指摘してるが、要はその初歩的なことが少しも出来ていないということか。これまで何をやってきたのだ」と社会保険庁に突っ込みを入れる人が日本国内に3000万人は出てきそうな内容が報告されている。

財源問題など年金制度の将来を不安視する声が高まっている。勧告書を読むにつけて、直接統括する社会保険庁に右肩を叩きながら「しっかりしろ」と声をかけてあげざるを得ない気分にさせられるのは、当方だけではあるまい。


※加入していなければ加入するよう強く指導すればいい:
呼び出しや戸別訪問などで加入するよう指導を重ねても応じない場合には、公権力として立ち入り検査を行い、職権適用の実施をすることで事実上強制加入させることができる。しかし強制加入させても、今度は保険料を滞納するという問題が発生する。一筋縄ではいかないのが現状。

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