新規公開株のつくり話で3000万円を詐取、男2人を逮捕

2006年09月28日 19:30

【NIKKEi NeT】によると株式コンサルタント会社を装って新規公開株式の購入を持ちかけ、3000万円をだまし取ったとして、警視庁捜査二課は9月28日、大徳匠(38)と下田憲一(59)の両名を詐欺の疑いで逮捕した。調べに対し両者は容疑を認めている。捜査二課では両者が2004年7月以降、北海道から福岡にいたるまで、約450人から計13億円ほどを詐取したものと見て追求する。

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両者は実体のないコンサルタント会社「エンゼルキャピタル」を名乗るなどして、「新規公開株を購入しないか、特別なルートから入手できる。上場して儲かったら利益は当社と折半」ともちかけ、(今件では)東京都の無職女性(73)ら9人から3000万円ほどをだましとった疑い。両容疑者は名簿業者から投資家名簿を入手し、新規公開株や未公開株の購入を勧誘していたと見られている。

新規公開株式や未公開株式に関わる詐欺事件では、最近ではキングダムトラストニューヨークによるものが世間を騒がしているが、規模の大小に関わらず株式投資への注目が集まると共に、これらの事件も年を追うごとに数を増やしている。特に2000年前後からは新規公開株式が大きく値を吊り上げかつてのNTT株以上の活況ぶりを見せたことから、「IPO(新規公開株)が手に入れば必ず儲かる」という都市伝説のような話が週刊誌などを中心に披露された。これが投資初心者をして「新規・未公開株式詐欺」にひっかかる下地を作ったと言って間違いないだろう。

最近では公募価格から数十%の安値で初値をつける新規公開株も相次ぎ(たとえば先日上場した【ミヤノ(6162)】は公募価格425円に対し370円という初値をつけている。その後も株価は低迷中だ)、都市伝説もまさにその言葉通りになりつつあるのだが、それでも一般の抽選では手に入りにくいことから「IPO株がどうしてもほしい」という欲は尽きることがなく、今回のような事件の餌食になる人も後を絶たない。

【金融庁】でも【未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~】という題名で、今件のような話に関する注意をうながしている(他にも【東京証券取引所によるもの】をはじめ、各関連機関で注意を呼びかけている)。そもそも証券取引法において「値上がり確実、絶対に儲かる」と断定の言及をした上での勧誘は禁じられており、この時点で「ニセモノだ」というのが分かるはず。

今後、定年退職を向かえ数千万単位の退職金を手に入れた退職者に対し、似たような「美味しそうな話」を持ちかけるグループはますます増えるものと思われる。マルチ商法や外為証拠金取引業者で廃業に追い込まれた者がこの手の行為をやらかすという図式で、実行側は今後も増えることこそあれ、減ることはないだろう。

基本的にそのような「楽して儲ける美味しい話」などありえない。縁故がどうだの秘密ルートがこうだのというのは、小説やドラマの中だけで十分である(笑)。

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