【更新】ネットゲーム『メイプルストーリー』でアイテム詐取、24歳の男性プレイヤーを逮捕
2006年09月26日 06:45
[YOMIURI ONLINE]によると【ネクソン】が運営中のネットワークロールプレイングゲームの【メイプルストーリー】で、ゲーム内に登場するアイテムをだまし取ったとして、香川県警東かがわ署などは9月25日、東京都練馬区大泉町の無職伊藤進一被告(24)(不正アクセス禁止法違反罪ですでに起訴)を詐欺の疑いで再逮捕した。ゲーム内アイテムの詐取で詐欺罪を適用したのは(恐らく)今件が日本初となる。
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『メイプルストーリー』は横スクロールタイプのネットワークロールプレイングゲーム。アクション性が高く操作も簡単、基本プレー料金も無料で、登場キャラクタもコミカルなところから、初心者を中心に人気を集めている。
元記事によると伊藤被告は6月24日にゲーム内において千葉県浦安市の男子高校生からアイテム2点(あわせて1300円相当)をだまし取った疑いがもたれている。ゲーム内の会話で「ゲーム内仮想通貨(ポイント)でアイテムの代金を支払う」と持ちかけアイテムを受け取ったが、支払わずに接続を切ったという。
『メイプルストーリー』では実際のお金でポイントを購入し、そのポイントでゲーム内のアイテムを入手したり、そのポイントを仮想通貨のように参加者同士で交換できる。伊藤被告は同じような手口で1年間で100人以上から合計2~3万円分のアイテムをだまし取ったと供述している。
すでに【『ファイナルファンタジーXI』の武器代金を詐取、25歳の男性逮捕】でも報じているようにこの8月には『ファイナルファンタジーXI』上で愛知県警が、アイテムを販売するとの目的で現金15万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕者が出ている。この場合は現金が詐取の対象となった。しかし今件ではゲーム上のアイテム、すなわち「仮想上の物質」が詐取対象となっている。県警では「被害者が購入した、ゲーム内でサービスを受ける権利を奪ったことが、財産上、不法な利益を得たと判断した」とコメントしているという。
先の記事でも解説したように、詐欺(さぎ)とは刑法上で規定されているもので、「人をあざむいて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得ること、または他人にこれを得させることにより成立する」と定義されている。奪われたものがゲーム上の架空通貨や架空のアイテム(デジタルデータ)であった場合には物理的要件が必要となる「財物」に該当しないという解釈もあるため詐欺罪の適用は難しとされていたが、今件香川県警は解釈として定義後半部分の「財産上不法の利益を得ること」の部分を適用したことになる。
今後法的解釈として法曹界がどのような判断を下すのか裁判の行方に注目が集まるところ。仮にこの容疑についての香川県警の解釈が正しいものとして判決が言い渡され刑が確定すれば、それは「判例」として残ることになり、同様の出来事で適用される可能性が高い。
実際の現金のやり取りが直接的に関与しなくとも、そのアイテムや仮想通貨の取得の段階で現金が関与していたとなれば「財産上不法の利益を得ること」に該当するという判断が下されれば、同様の出来事が多数報告されているだけに、今後のネットワークゲームにおいて大きな「結果」になるに違いない。
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