世界銀行、鳥インフルエンザの拡大で最大234兆円の悪影響と推算
2006年09月18日 08:00
【NIKKEI NeT】によると【世界銀行】は9月17日、シンガポールでの講演の中で、鳥インフルエンザが世界的に流行すれば最悪の場合、2兆ドル(約234兆円)規模の経済的影響が生じるという警告を発した(【関連リリース、英語】)。これは日本の年間国家予算の3倍程度に相当する。
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世界銀行はリリースの中で、鳥インフルエンザ対策費用として1500万ドルをインドネシアに交付する旨レポートで報告すると共に、人から人への鳥インフルエンザ(H5N1型)の直接感染が始まると仮定すれば、世界人口の1%に相当する約7000万人が命を落とすシナリオを提示し、危機を訴えている。
また同レポートでは過去1年の間に鳥インフルエンザが東アジアから南アジア、欧州、中東、アフリカにも拡大したと指摘。現在鳥から人に感染しているH5N1型ウィルスは今後人から人への感染がされるように進化する可能性があるとし、鳥インフルエンザ専門家は「人用ワクチンの実用化を急ぐとか、健康を守るための監視システムを再構築するなどに取り組む必要がある」と対策強化を強調したという。
英語リリースをさらに読み解くと、
・鳥の被害は2億2000万羽におよんでいる
・想定被害総額は2兆ドルどころからさら1兆ドル上積みされる可能性もある
・現在鳥インフルエンザによる被害者は10か国で確認され、244人か感染、144人が命を落としている
・鳥インフルエンザによる生命の危険以外に、鳥を失うことによる労働者の経済的問題も重要な課題として持ち上がりつつある
などの警告がなされている。
インフルエンザウィルスはその性質から、進化スピードが異常なまでに速く、人間の頭では想定できないような事態に発展する可能性も否定できない。万策を打って備えるしか手がないのだが、その万策すら満足に打てないような状況が続いているようだ。かつてのペストのようなことにならなければよいのだが。
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