1927年の美保湾演習を63隻分の軍艦模型で再現
2006年09月20日 12:30
鳥取県美保湾で1927年に行われた旧日本帝国海軍の軍事演習を、模型を使って再現しようという人が現れた。境港市馬場崎町の会社社長松下薫氏(77)と地元の中学生二人が共同で戦艦「長門」「陸奥」「伊勢」「日向」「比叡」「金剛」をはじめとする合計63隻の軍艦の模型を作成。これを元に山陰放送が特別番組を制作し、1927年の8月24日の夜に起きた衝突事故「美保関沖遭難事件」の全ぼうを探るという(【参照記事:山陰中央新報】)。
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元記事に掲載されている写真を見る限り、作成されている模型はウォーターラインシリーズ(喫水線以下の艦底部分を省略している模型で、海に浮かぶ堂々とした姿がそのまま楽しめるタイプの模型)のもよう。
作成スタッフのリーダー格である松下氏は旧日本海軍OBによる県西部海友会のメンバーでこれまでにも艦艇や戦闘機のプラモデルを多数作成するだけでなく、それらを模型展示を中心とした「海軍記念館」を開設しそこの展示物にするという計画を抱いている。模型作成は松下氏にとってライフワークそのものだったが、山陰放送から番組製作のための協力依頼があり、今回美保湾演習を再現するための63隻の「建造」を請け負うことになった。
「建造」には松下氏の他に地元の中学生2名が参加。6月中旬から7月末にかけて作業を行った。700分1の市販スケールモデルが中心だが販売されていない艦船もあり、それについては当時の姿を調べて既存モデルを改造して作り上げたという。
番組で取り上げられた衝突事故「美保関沖遭難事件」とは、1927年8月24日の演習で夜間に行われた、無灯火での演習に起きた衝突事故によるもの。巡洋艦「神通」と駆逐艦「蕨」が衝突、さらに巡洋艦「那珂」と駆逐艦「葦」も衝突し、「蕨」が沈没、他の3隻が大破したというもの。この事故で119人が殉職している。
真珠湾攻撃の際のパールハーバーの様子などの艦艇ジオラマはよく見かけるが、美保湾演習でのジオラマは聞いたことがない。「海軍記念館」完成のあかつきには注目を集めることだろう。
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