ナンバーポータビリティで「動く」もの、携帯コンテンツ業界

2006年08月30日 12:30

【NIKKEI NeT】において、携帯電話向けのコンテンツ(情報内容)配信各社が事業の多角化に乗り出すという話が掲載されていた。具体的には海外商品の輸入販売やコンサルティングを新たな収入源にすえるという。また、無料のコンテンツを活用した事業モデルも模索するとのこと。そのきっかけとなったのが、10月24日から導入される番号継続制度(ナンバーポータビリティ)だというのだ。

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具体的にどの会社がどのような多角化を図るのかは元記事を参照していただくとして、今件には「なるほど」、もっと端的には「こんなことに気がつかなかったとは、(自分は)間抜けだ」と思ったのが偽らざる心境。ナンバーポータビリティで携帯本体の会社のシェアがどうとか、新機種買い替え需要がどうとかいう一時的な動きは把握していたものの、「携帯電話の会社を超えての変更で何が起きるか」という深い部分での思慮に欠けていたのを再認識してしまった次第。

携帯電話会社間での行き来が活発になれば、当然現在使っている携帯電話の有料サービスの解約も増える。携帯電話会社をまたいで有料コンテンツサービスの継続は出来ないからだ。移転先の携帯会社に同じサービスが提供されていなければ、そのコンテンツ配信会社にとっては「会員数の純減」となる。また、携帯本体の会社変更に伴い、登録している有料コンテンツの整理や契約終了を考える人も増えるだろう。よほどそのコンテンツに愛着がなければ、移転先の携帯電話で改めてサービスを登録しなおす人はさほど多くないものと思われる(データの移送サービスなどは基本的に無い)。

利用客は移転先で新たなサービスを登録することになるから「新規顧客の獲得」というビジネスチャンスも発生する。が、超大手の鉄板配信会社以外は「半ば惰性で継続登録していた、ロイヤリティ(サービスへの傾注度)が高くない人たちが辞めてしまい戻ってこない」という不安にさいなまれることになる。

元々競争過多と趣向の多様化で1コンテンツあたりの会員数が減り、収益率が下がり、制作費も削られる傾向にあった携帯コンテンツ配信各社にしてみれば、現状は戦々恐々以外の何ものでもないだろう。

ヤフーファイナンスのチャートフォリオ機能で【携帯コンテンツ企業を検索すると22社が該当する】。慣れない多角事業化を目論んで痛い目にあうか、それともスマッシュヒットを得て躍進するか、あるいは既存事業を有効に活かす関連事業を開拓するか。企業によって進む道はさまざまだが、これからしばらくは嵐の中を突き進まねばならないことだけは確かだろう。

無論携帯電話市場が縮小する、というわけではない。単に情勢の変化で厳しい時期が到来するだけ。この嵐を乗り切れるだけの体力と知恵と決断力を持ち、それを活かせれば、嵐を乗り切った経験を勝ち得た「一流企業」としての冠を得ることができるはずだ。

上記22社の中でどれが「荒波にもまれつつも航海を乗り切る」船となりうるのか。各社の事業方針や展開する内容、バックグラウンドや経営陣の性格などもあわせ、各自が精査するしかないだろう。

……もし仮に1社だけ将来有望な銘柄を選ぶとしたら、あなたはどの銘柄を選ぶだろうか?

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