ドイツの「学生」が「教授」を評価するサイト、政府系機関が「モノ申す」

2006年08月29日 07:30

インターネットイメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によると、ドイツの大学生が担当教授を採点し、内容を誰でも閲覧出来る「評価サイト」こと【MeinProf.de(「私の先生」という意味)】がドイツの教育界で話題となっている。賛辞だけでなく辛口の評価も書き込まれるため、政府系のデータ保護機関が運営方法の変更を迫る事態にまで発展しているという。

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このサイトでは、ドイツ国内2万4600人の教授の指導法や公平さ、学生へのサポート、教材の良しあしなどが5段階で評価され、授業のコメントも掲載されている。8月中旬には200万件のアクセスがあり、機能が一時パンクするほどの人気。

MeinProf.de。シンプルだが非常に機能的
MeinProf.de。シンプルだが非常に機能的

高得点を得られるようなスキルを持っていたり授業をこなしている教授には賛美の声が相次いで掲載されるが、低得点の教授には「あの教授の授業に出席するのは悲劇だ」「肌の色(人種)で学生を差別する」「給料を返還すべきだ」など、辛口のコメントが目立つ。この評価コメントは教授の実名と一緒に公開されており、当然のことながら(それが事実であったとしても)低評価を受けた教授たちは猛反発し、サイトの閉鎖を求めている。

行き過ぎた書き込みなどから政府系のデータ保護機関は人格権の侵害の恐れがあるとし、評価を公開する際には教授の許可を得るなどの条件を受け入れるよう要求した。8月末までに従わない場合、サイトの閉鎖、最高25万ユーロ(3750万円)の罰金を科す可能性もあるという。

背景にはドイツの教育制度の変更が間近いという現状がある。ドイツの大学はこれまで原則無料だったが、近い将来財務的な問題から、有料となるのは確実。学生は「ムダ金」を使わないよう、教授の質に敏感となる。サイトの趣旨に賛同し、手弁当で学生側の相談に乗るブレーメンの弁護士、ラムベアト・グロスコプフ氏は「教授は公人であり、評価を受けて当然」と話しているという。

今サイトの意義は、今現在授業を受けている人はもちろん、これから大学で授業を受けようする人たちに「現場の、有意義な情報を提供する」という点にある。またドイツでは日本のように「入りたい大学の入試を受けて入学する」のではなく、大学入学資格さえ取ればどの大学にもフリーパスで入れるので、教員の質や授業内容に敏感なのは当然といえる。

サイトも匿名によるいい加減なものではなく、事前登録が必要となっているし、評価システムも念入りに作られており、いい加減な仕組みではない。しかし一部の教授や当局側からは「本人に無断で情報を公開する」ことは勘弁ならない、自由にデータを閲覧できるのも問題だとしている。

日本でも例えば、裁判官の仕事ぶりを評価している【裁判官評価ネット】が、高い評価を受けた上位の裁判官を公開する動きを見せるなど、ネットの投票などによる評価システムを活かす仕組みを提示している。また、このような「ユーザー側の傘下でコンテンツが形成される」というCGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)は、インターネット全体の新しい流れとして注目を集めているのはいうまでもない。

俗に言う「工作員」や本人、お遊びや悪意による投票・情報コントロールを防ぐ仕組みを作る必要はあるだろうが、不特定多数の意見を吸い上げて参考にするシステムは、ネットの普及と共に今後さまざまな面で提供され、利用されるようになるだろう。

投資の分野でも例えば「これから口座を開設するとしたらお薦めしたい証券会社」とか、「信頼の置ける・信頼できない格付け会社」とか……。使いやすい、フレキシブルな組み込みスクリプトがあれば、当サイトでも導入するのも良いかもしれない(すでにhe.cgiを用いた簡易意見反映システムは導入し、時々利用しているが)。

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