総務省がネット上の情報の「うそ発見器」を開発へ
2006年08月27日 07:30
【asahi.com】によると【総務省】ではインターネット上の情報の中で「うそ」や「間違いの可能性が高い」情報を自動的にピックアップしてネットの利便性を高めるシステムの開発に乗り出す。ネット上にある関連深い別の情報を探し出して比較参照し、その情報の「確からしさ」を示すという。2007年度予算では3億円を要求し、研究機関と協力して2010年までの開発を目指すという。
スポンサードリンク
元記事によるとこの「うそ発見器」は、ある特定の情報に対し、類似情報や情報元などとの突合せを行い、その情報が間違いやうそであるかどうかの確認をプログラムによって自動的に行わせるというもの。信頼性の高い順に検索結果を表示させたり、「確からしさ」の率を表示させることもできるようにするのが目標。
対象となる情報は株式情報、国際情勢の解説、商品情報などさまざま。問題点としては「信頼できる」情報を見つけ出せるかどうかにあり、そのためには知識を関連付けて書かれた内容の意味を正確に判定する技術や、高度な自動翻訳技術などを作り出す必要があると記事ではまとめている。
8月25日に総務省では【「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書」の公表】を公表しており、今件の「うそ発見器」はこれに絡んでの概算要求内容によるものだと思われる。現実性云々は別として、話としては面白い。ただ、いきなり「うそ発見器」を作成するのではなく、まずは「どの情報が確からしいか」を確認する、あるいは人間の判断をサポートするプログラムを作った方が現実的な気がしてならない。
そもそも「何が正しくて何が間違っているか」を判断できるかどうか、その時点で今プロジェクトは「実現不可能」と判断されうる。例えば先日「太陽系の惑星から除外された冥王星」の話。
昔は「冥王星? そんな惑星などあるはずない」が人類にとっては事実であり、つい最近までは「冥王星は太陽系の第九番目の惑星です」が事実であった。そして先日から「冥王星は太陽系の他の惑星と似たような周期軌道を描いているけど太陽系の惑星では無い」というのが事実になった。さてこの「うそ発見器」はどのように判断するのだろう。
他にも例えば先日の某ボクシングの試合の件や、湯沸かし器の件、大手自動車会社のリコールの件など、ある事象がうそかどうかなど、その時々の状況の流れや人の都合でさまざまに変わりうる。
その点から考えてみると「山師の口車にのせられて無茶・無駄な予算請求をさせられた」ような図式にも見受けられる。このあたり、先に【総務省、Winnyで流出した情報を強制削除する技術の開発着手へ】で感じたのと同じうさんくささの香りがするのだが、気のせいだろうか(万一このようなシステムが作られると「世論誘導」も出来ることになるわけだし……)。
一部検索エンジンのサービスなどで行われている、特定キーワードに対するトレンドリサーチや、肯定・否定キーワードとの関連性の精度向上に傾注した方が良いような気がする。もっとも国・公共団体がこのような研究開発を行うこと自体に意義があり、研究の過程で発見されうる副産物に期待をかけるべき、という考え方もありだろう。
スポンサードリンク
ツイート