これは元々人間が持つ遺伝子の中で、エネルギーの代謝がされにくく肥満になりやすいとされる遺伝子を持つかどうかについて、指のつめで検査するというもの。これは「肥満遺伝子」と呼ばれるもので、従来ならば血液や口の中の粘膜を採取して行うものだった。

つめの遺伝子の場合には遺伝子がばらばらの状態で見つかり、必要な情報が得られなかった。ところが今回開発された検査方法では、特殊な化学物質を用いることで、つめから採取し、ばらばらになった遺伝子の中からでも、肥満遺伝子の識別に必要な遺伝子を探し出すことが出来るようになったという。

肥満になりやすい遺伝子については、エネルギーの代謝がされにくい度合いに応じて3つのタイプがあるとされている。今回の検査方法では、3つのうちどのタイプの遺伝子を持っているかまで識別が可能。さらにこのタイプに応じて、エネルギーの代謝が特に進みにくい食べ物があるので、この検査結果を元に、それぞれの体質に配慮した食事の制限を行えば、肥満やそれが原因となる生活習慣病の予防につながることが期待される。

ノバスジーンの研究開発担当部長堀邦夫氏は「血液やだ液から(DNAサンプルを)とるということになるとかなり抵抗感があると思う。つめはつめ切りで切って送っていただくだけなので、抵抗感がかなり少なくなると思う」とコメントし、お手軽さを強調。イービーエスの福岡太英子代表取締役社長は「一般の消費者、健康保険組合、健診センター、医療機関など、市場はかなり大きいのではないか」と、需要の大きさに期待を寄せている。

企業側では今後、つめから採取した遺伝子を元に、肥満遺伝子だけでなく喫煙や飲酒によって病気になりやすいかどうかなど、さまざまな体質の検査ができるように研究を重ねていきたいとしている。

肥満遺伝子の存在と、簡単な郵送検診(サンプルを採って郵送するだけで、自宅でも気軽に検診できる仕組み)でその遺伝子をチェックしてダイエットの方針決定に役立てるということは、【GarbageYuken】でもお伝えした通り。ただ今回、サンプルとしてごく普通のつめが使えるようになったことで、ますますお手軽度はアップし、多くの人が利用できることになるだろう。実際にネットショップなどで「肥満遺伝子分析キット」などが入手できるようになったら、あらためて紹介したい。

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