フィリピン沖で水上偵察爆撃機「瑞雲」のほぼ全形をとどめた残骸発見
2006年08月13日 18:10
[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]が報じたところによると、太平洋戦争において旧日本海軍が開発した水上偵察爆撃機「瑞雲」(ずいうん)のほぼ完全な形を残した残骸が、フィリピン沖の海中で発見された。「瑞雲」が原型を留めた形で発見されたのはこれがはじめてのことであるとして、注目を集めている。
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水上偵察機とは、機体の下についているゲタバキのようなフロートで海上に浮き、陸上の飛行場や航空母艦からで無くとも運用が出来る航空機「水上機」の偵察型。「瑞雲」の場合はこの水上偵察機に爆撃機の性能を持たせるべく開発された。日本では侵攻先ですぐに航空機を運用できるよう、この「水上機」はかなりの数が開発されている(ちなみにアメリカではほとんど無い。大量の人員と高性能の工作機器で、あっという間に飛行場を整備してしまうので、わざわざ水上機を作る必要がない)。
瑞雲は愛知飛行場で作られ、偵察機としての任務を主としながら、250キロ爆弾1発あるいは60キロ爆弾2発を搭載し、急降下爆撃もできるように機体強度・安定性・運動性能などに配慮がなされている。偵察機でありながら空戦フラップ(空中戦での旋回性を上げるためのフラップ操作を自動化する装置)や、急降下用の効力板(ダイブブレーキ)などが設けられている。が、これらの装備の調整のため実戦配備が遅れ、1942年5月には初飛行しているが量産が開始されたのは1944年2月(その後もトラブルは相次いでいる)。日本海軍としては最後の正式採用された水上偵察機となった。改良につぐ改良のため、数が揃わず、1944年10月のマリアナ沖海戦では当初航空戦艦の伊勢・日向に搭載する予定だったものが間に合わなかったエピソードは有名。
今回NHKで報じられた内容によると、発見された場所はフィリピン・ルソン島南部のタバコ湾。撮影された映像にはほぼ原型を留めた瑞雲の姿が映し出されていた。この機は1944年の10月、レイテ沖海戦前後に繰り広げられたレイテ戦において活動しほぼ全滅した、瑞雲で構成された第634航空隊の主力部隊、偵察301飛行隊のものと推定されるという。
今回発見された機体については搭乗員もほぼ特定されている。調査を進めている瑞雲航空隊の元搭乗員や、遺族の親族の方々はこの機体のある場所に慰霊に訪れたいとNHKでは報じている。
(最終更新:2013/09/02)
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