二大航空会社、明暗分かれる決算発表

2006年08月08日 20:00

ジャンボイメージ【日本航空(9205、JAL)】は8月7日、2007年度第1四半期連結決算を発表し、最終損益が267億7700万円の赤字(前年同期383億7500万円)となったことを発表した(【発表リリース、PDF】)。前年同期と比べれば単年度における状況は改善されつつあるが、依然として厳しい経営状態におかれていることに違いは無いことがうかがえた。

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JALイメージ多額の赤字吐き出しという事態が継続していることについて発表リリースでは、原油価格の高騰で燃料費が増大していることに加え、運航トラブル、経営内紛など諸事情による国内線の旅客数の低迷が続いた事を原因にあげている。また先日「総会直後の大量新株発行」という、株主から多数の非難を浴びることになった件については「機材のダウンサイジングを進めるための調達資金に充当する目的で」と説明し、7億株の発行で1386億円の払い込みが完了したと報告している(資本金・資本準備金共に693億円増加)。

特に燃料費の高騰は幹部曰く「自助努力の枠を超えている」という状況にあり、国際線運賃を今年中にも値上げする方針を固めているという。

一方2005年度に日本国内旅客線におけるシェアトップに躍り出た【全日空(ANA、9202)】は7月31日に2007年度第1四半期連結決算を発表しているが(【発表リリース】)、それによると日本航空と同じように原油高などの外部的環境の激化にさらされながらも単価の高いビジネス客の増加や個人旅客需要の喚起に成功、さらに運航コストの低減に努めるなどし、売上高は前年同期比10.5%増の3452億2200万円、純利益は同じく3.5倍の76億8400万円を計上。有利子負債の290億円圧縮にも成功し、金融収支の7億円の改善も図れた。

外部的要因が同じである以上、日本航空と全日空がここまで正反対な結果が出るのは、経営陣など内部体質に問題があると思われても仕方があるまい。株主軽視としか受け止められない「総会直後の大量新株発行」など、どこを見ているのか分からない経営を続けては、顧客だけでなく株主も去っていってしまいかねない。

かつて日産にゴーン氏が現れ抜本的な改革を行ったかのように、インパクトの強い「社内改革」が今の日本航空には必要なのだろう。逆にいえば、それほどの覚悟が経営陣に無ければ、日本航空の再生は難しいと思われる。

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