免疫機能に亜鉛が重要な役割を果たしていることを発見
2006年08月07日 12:30
[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]が報じたところによると大阪大学や【理化学研究所】などのグループは人体にわずかに含まれている元素のひとつ「亜鉛(Zn)」が、ウイルスなどの感染を防ぐ免疫機能の中で重要な役割を果たしていることを解明した。将来、アレルギー治療法やがんワクチンの開発につながるのではないかと期待されている。
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【理化学研究所が発表したリリース】によれば、元々亜鉛不足によって味覚障害や成長障害、免疫不全、神経系の異常などの症状が見られることが分かっていたが、この症状を元に研究を進めたところ、今回の発見「亜鉛が免疫反応において情報伝達物質として活躍している」にいたったという。今回の研究成果の詳細は、アメリカの科学雑誌【Nature Immunology(ネイチャー・イムノロジー)】のオンライン版に8月7日付けで掲載される予定とのこと。
今回の発見は、細胞内の亜鉛濃度を調整することで免疫応答をコントロールできるかもしれないという可能性を示すものだという。さらに亜鉛によって活性化するたんぱく質が免疫細胞だけでなく生体内のすべての細胞群に存在することから、亜鉛がシグナルを伝達する物質であるという今回の発見は、広く生命科学全体に影響を与えるとしている。
研究グループの平野俊夫教授は「亜鉛の濃度が、たとえばがんの転移だとか色々な外からのシグナルを伝えるのに使われているのではないかということに関する調査をやりたいし、もしそうだったらどういう本質的な機構でそういうことが起こっているのかやっていきたい」と、さまざまな方面での期待を述べた。
亜鉛は精力増強絡みで話題に登るほかに、最近「何を食べても味がしない、ゴムのようだ」などという例が挙げられ問題視されている「味覚障害」の原因は、実は亜鉛不足ではないかということが叫ばれている。亜鉛が情報伝達物質としての役割を持つのなら、亜鉛が不足することでその伝達(味覚障害の場合は「味覚」情報)が十分になされないということになり、味覚障害になりうるのもむべなるかな、という推論が成り立つ。
研究グループには今後もさらなる探求に全力を尽くしてほしいし、具体的な成果を世に知らしめてほしいものだ。
(最終更新:2013/09/16)
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