「♪大きなおなかの腹時計、実は頭にあった」科学技術振興機構が解明
2006年08月02日 06:00
【MYCOM ジャーナル】によると、食行動を制御する、俗に言う「腹時計」の場所がお腹にではなく脳にあったとする研究成果を【科学技術振興機構】が発表した(【発表リリース】)。マウスを使った実験で判明したという。
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元々すべてのほ乳動物は行動パターンを24時間周期で制御する体内時計を持つことで知られている(睡眠制御の「光同期性クロック」など)。この体内時計の働きで、1日周期で規則正しい行動ができる仕組みになっている。例えば「光同期性クロック」なら外界の光に同期し、昼に行動し夜は眠るというもの。海外旅行で光が当たるタイミングがずれるとこの時計が混乱し、体調がぐだぐだになるのが「時差ぼけ」というわけだ。
夜行性のマウス実験において、えさが昼間の一定時間帯にのみ得られる環境下におかれると、この「光同期性クロック」を無視して昼間に行動しえさを食べるようになるという「環境適応」をすることも知られていた。つまり「食餌同期性クロック」(いわゆる「腹時計」)が環境に適応したというわけだ。だがこの「腹時計」、どこに存在するのかが明らかになっていなかった(「光同期性クロック」は脳内にあることが判明していた)。
今回の実験では「視床下部背内側核」という部分が「腹時計」に該当するのではないか、という結果が得られたという。もちろんそのまま人間に当てはまると確証されたわけではないが、マウスでも場所が特定できたことは大きな成果といえる。リリースでも、「睡眠・食事などのライフスタイルと肥満・メタボリックシンドローム発症との間には密接な関係がある。腹時計の仕組みが解明できれば、食欲・食行動のコントロールが可能となり、しいては肥満や生活習慣病の予防に役立つかもしれない」と期待している。
腹が減るかどうかに直接関係するのは確かにお腹だが、「お腹が減った」と当人が「思う」のは頭においてであって、腹が思うわけではないことを考えると、腹時計が頭にあるのは当たり前のことかもしれない。が、科学的に「腹時計は頭(脳)にある」と実証されたのは、大きな成果といえよう。腹時計のトラブルが必要以上の食欲増進をうながしてその結果肥満になっている病症があるのならそれを改善することで肥満は減らせるだろうし、さらに意図的にコントロールできれば、食欲という誘惑を抑えて過度の食事摂取を止められるかもしれないからだ。
研究の成果が形となって現れるのはまだ先の話だが、今後に期待が出来る話といえよう。今は「腹時計がお腹にあるわけではない」ということが分かっただけでも良しとすべき、というところだろうか。
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