「他人にきびしく自分に甘い」日本人のモラル評価
2006年08月01日 12:30
[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]によると、最近の日本人全般のモラルについて、多くの人が「低い」と感じている一方、自分自身のモラルについては逆に「高い」と考えている人が多いことが明らかになった。他人と自分のモラルに対する評価に大きな違いがあるとNHKでは分析している。
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今調査は無作為抽出された人のうち1025人からの回答を元に集計したもので、
●最近の日本人のモラルをどう思うか
・「高い」「どちらかといえば高い」……18%
・「低い」「どちらかといえば低い」……77%
●10年前と比べて全体的なモラルはどう変わったか
・「低くなった」……68%
●自分自身のモラルをどう思うか
・「高い」「どちらかといえば高い」……67%
という結果が出た。全体的、他人に対しては「モラルが低下している」と危惧している一方、「自分自身は高い」と自負している傾向が強いことがうかがえる。
また、モラル低下の原因を挙げてもらったところ、
・「人間関係が希薄になり他人に配慮しなくなった」……32%
・「家庭や学校できちんと教えていない」……28%
・「損得や効率が優先されモラルに気を配る余裕がない」……15%
といった回答が示されている。
今回の調査結果について右にある『教育格差』など日本人の意識について多数の著書を持つ精神科医の和田秀樹氏は「和を重んじたかつての日本ではけんそんが美徳とされてきたが、競争を重視する経済や社会の変化によって、他人は見下す一方で自分の行動は正当化して考える傾向が強まっており、これが全体のモラルをさらに低下させる背景にもなっている」と分析している。
数字第一主義は戦後の経済成長の中で「分かりやすい指標だから」として多くの人に受け入れられ教育にも用いられてきたこと。その結果として「数字として現れにくい」モラルが軽視され、低下してしまったのは当然の結果だろう。ただ、モラルは「民度」でもあり、長い眼で見れば国そのものの覇気、国力を低下させるだけでなく、国自身を無くしてしまう要因にもなりかねない。
競争第一主義、数字やお金がすべてではない、というのはわかるのだが、回りがそうしている以上、自分もそうしなければという思いに駆られるのは仕方のないところだろうか。あるいは「同じようにしないと不安だ」という、心の弱さがおおもとにあるのかもしれない。
(最終更新:2013/09/17)
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