IT企業大手で在宅勤務の道広がる、3万人が可能に
2006年08月23日 19:30
【NIKKEI NeT】によると【NEC(6701)】や【日本ヒューレット・パッカード】などIT企業大手4社が、本格的な在宅勤務制度を導入する。これまでも在宅勤務が行える制度はあったが、育児中の女性など何らかの理由が必要だった。今回の動きは制限を設けず、システム部門全体や全社員を対象とするという。
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在宅勤務制度の全般的導入への動きは、企業の情報化投資が進む中で送り手側になるIT企業での技術者不足が深刻化しているのが原因。勤務体系を多様化し人材確保をして、顧客のニーズに応える範囲を拡大する。在宅勤務制度では先行している【日本IBM】を含め、大手5社の従業員の半分にあたる3万人ほどが在宅勤務を利用できるようになる見通し。
企業側では在宅勤務者へのサポートも行う。業務用パソコンを貸与し、ブロードバンド環境の整備も行い、オフィスの社員とのシステム開発などを進める。企業側では特に若年層における優秀な人材を囲い込む手段として、在宅勤務制度の広範囲での適用に期待をしている。
独立して自宅で勤務を行うアメリカなどのスタイルとしてSOHO(Small Office, Home Office)が知られている。高性能のパソコンの低価格化と、高速大容量通信網の普及で、SOHOと在宅勤務をあわせ、「自宅でお仕事」というパターンが増えてきそうである。
雇用体型の選択肢が広がるというのは歓迎すべき動きではある。ただ、よく考えてみると、在宅勤務の場合、企業側にしてみれば通信費など「見た目の」経費削減に直結することから、コストカットのために行っているのではないかという見方もある。また、メッセンジャーやネットミーティング、テレビ電話などのシステムを用いることである程度緩和はできるが、他人とのコミュニケーションがとりづらくなることで、中長期的に従業員の精神面にマイナスの影響を与えるのではないかとの懸念も捨てきれない。さらに、よほど精神面で強い人で無いと、在宅勤務はメリハリがつきにくくなり、作業効率が落ちる可能性が高い。
「人数は確保できても企業全体としてのキャパシティはさほど上がらなかった」ということのないよう、企業にとっても従業員にとっても、そして顧客にとってもプラスとなるような方法を考え出してほしいものだ。
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