北越製紙(3865)を巡る敵対的TOBで製紙業界第二位の日本製紙グループ(3893)が阻止のための大量買付け表明

2006年08月03日 20:10

株式イメージ先に【王子製紙(3861)、北越製紙(3865)の公開買付(TOB)開始。北越製紙は買収防衛策発動検討へ】などで報じているように、製紙業界トップの【王子製紙(3861)】が第五位の【北越製紙(3865)】に対して敵対的株式大量買付け(TOB)を開始した問題で、業界第二位の【日本製紙グループ(3893)】は8月3日記者会見を開き、今回のTOBを阻止する目的で、日本製紙グループが北越製紙の株式の大量取得を目指し、すでに一部を実施していることを発表した(発表リリース)。

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リリースによれば現在日本製紙グループが取得している北越製紙株式は1366万4122株で、これは8月7日に予定されている【三菱商事(8058)】への第三者割当増資実施前の議決権ベースで8.49%に相当する。日本製紙グループではさらに買い増しを行い、増資後において議決権ベースで10%未満の取得を目標とするという。

今回日本製紙グループが北越製紙の株式を取得し、王子製紙による敵対的TOBを阻止する動きに出たことについて同社では

「王子製紙による本件買収の強行は、北越製紙の経営体制、従業員の生活および地域社会のみならず、製紙業界の秩序を乱す恐れがあると考え」た。

「王子製紙による本件買収が成功した場合には、当社は洋紙事業規模で王子製紙に並びかけられ、連結売上規模全体で明確な差をつけられることになります。紙市場全体の大きな伸びが期待できない環境において、売上規模の格差はそのまま収益稼得機会の差となって、企業規模におけるキャッチアップ実現をより困難にする恐れがあり、本件買収は当社の著しい不利益となる可能性があり、当社としても看過できない事態であると認識しております」


とその理由を説明している。

今回の買い付けについて日本製紙グループでは「独占禁止法上の制約を受けない範囲」「その他各法令を考慮した上で決定した」とし、さらに北越製紙に対する経営的支配や経営統合の意図はないと明言した上で「(日本製紙グループ自身の株主はもちろん)北越製紙の株主、経営陣および従業員、ならびに三菱商事のご理解を得られるものと確信いたしております」とコメントしている。また、三菱商事・北越製紙グループの間で何らかの緩やかな協力関係を築くための協議に入る申し入れをしたいという姿勢も見せている。

これで、(三菱商事が三菱グループの一企業であること、そして三菱グループの製紙会社である【三菱製紙(3864)】がシェア第四位であることを考慮すると)製紙業界の第一位から第五位までが揃って今回のTOBに何らかの形で関与することになった。かなりごちゃごちゃしてきたので図にまとめてみる。

8月3日時点での王子製紙・北越製紙のTOBの関連図
8月3日時点での王子製紙・北越製紙のTOBの関連図。
(ギザギザのふき出しの中の数字は製紙業界におけるシェア順位)

昨今も原油高から次々に値上げが行われ、注目されている時期における「業界内騒動」といえる今回の敵対的TOB。各社の事情は理解できるが、多くの人たちにとっては生活に欠かせない身近な消費財である紙製品に関わる業界の出来事なだけに、一刻も早い事態の収拾を望みたいところだ。


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【王子製紙(3861)によるTOB、日本初の同業他社に対する敵対的TOBとして注目を集める】


(最終更新:2013/08/26)

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