世論操作と工作員の話-1
2006年08月12日 19:00
先日行われた某局でのボクシングの試合内容や、某著名クリエイターの息子による第一弾作品の評価において、最近「世論調査」や「工作員」というキーワードを良く聞くようになった。当サイトでもネットと広告などについては何度か取り上げたこともあり、簡単にではあるが今件とも絡めて、これらの「情報」界隈の「実情」をまとめてみる。
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具体名を挙げるのは色々問題があるので差し控えるが、【J-CAST】などでも説明されているように、企業や団体にとって都合の悪い世評や世論がネット上で形成されるようになると、「サクラ」的な書き込みを意図的に行い、話の流れをそらしたり、都合の良いように誘導するという動きがある。それが第三者によるものではなく、企業や団体側と関連のある(あるいは依頼を受けた)専門の業者によるものというのだ。一言でまとめれば「工作員による世論誘導」ということ。
ネット上の話の流れをうまく誘導したり、世論そのものを構築するやり方は昔から行われている。有名なところでは「流行のカラーは事前に業界団体が決めておく」という話。また最近では社員や専門家に素人のふりをさせて自社商品をべたぼめさせようという広報展開をしたところ、あっという間に化けの皮がはがれ、かえって逆効果になってしまったという事例が記憶にあたらしい。
また、決して公式にはその存在を認めないが、大手企業では多かれ少なかれ対ネット部隊のようなスタッフが存在し、サクラや工作員紛いの行為を行っている。有名なのが「ゲートキーパー」と呼ばれる大手電機メーカーによる専属スタッフ。他にも某ご近所の国では国レベルでそういう「工作員」チームを編成し、主に日本に向けて色々と「工作」していることが知られている。
今回問題となっているのは、自社、あるいはその関連スタッフが「サクラ」として工作をしているのではなく、そういう業務を専門に行う会社が「仕事として」やっているという点にある。もちろんそのような工作をしたことが明らかになればそれ自身の効果が無くなるので、関係各員は否定しているが、そのような業務が実在するのは事実。
先に【ガイアックス(3775)など、コミュニティサイトの運営代行サービス「community-cruise」開始】や【ネット上の風評監視サービス、企業にニーズ高まる……が?】でも紹介した企業が、そのような業務を行っている。たとえば【ピットクルー】では、監視や書き込み削除だけでなく、掲示板上にスタッフが「書き込みで参加して論議を”誘導”し、悪意を緩和させる」という、いわばヤラセ的措置も取るという。これは企業が管理運営をしている掲示板やコミュニティ上での話しだが、第三者的な場所にある掲示板上やコミュニティでも「サクラ的行為」は行われていると思われる。
第三者間で自由に論議されているはずが、実は企業なり団体なりの意図によって情報操作されているとしたら、愉快な話ではない。
(【世論操作と工作員の話-2】に続く。)
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