日経社員のインサイダー取引、証券取引等監視委員会の調査網にかかったのが発覚理由
2006年07月26日 07:00
【asahi.com】によると【東京地検、日本経済新聞社社員をインサイダー取引容疑で逮捕】でも報じたように日本経済新聞社の社員がインサイダー取引を引き起こした件では、【証券取引等監視委員会】が日常的に実施している調査網に該当者の取引が「ひっかかった」ことが発覚の理由であることが明らかになった。
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証券取引等監視委員会では日頃から、株価が急騰・急落したり、合併や株式分割など投資家判断に影響を及ぼしそうな重要事実が発生した銘柄が出た場合、売買記録や売買した人物について分析や審査をしている。またこのような案件の前後の売買について証券会社に対し、注文をした個人名や売買記録などの資料の提出を命じている。証券取引法違反となるインサイダー取引や株価操縦などが疑われる取引をチェックするためだ。
元記事では該当社員による購入銘柄以外に公告掲載日や売買期間、買い付け金額、買い付け株数までもが詳細に記載された図が掲載されており、それらの情報が証券取引等監視委員会ではしっかりと把握されていたことがうかがえる。
さらにひんぱんに株式売買をする人物については「要注意人物」としてデータベース化もされていたという。今件の該当者もそのリスト中にあり、不正取引の疑いが浮上。マークされることになった。さらに分析を進めた結果、「インサイダー取引の疑いが強い」と判断。今回の事態となったことになる。
いわば今件は自己申告や内部告発ではなく、証券取引等監視委員会による日頃の「パトロール」が身を結んだ結果という観点でも、注目に値する。こういう調査機関では通常は「チェック対象となるようなことをする人物、グループが対応策をとらないように」調査監視していること自体、そしてチェック内容をできるだけ明らかにしないのが常。その意味では今回はかなり珍しい事例といえる。
これは、証券取引等監視委員会の組織改変も含めた増強案が模索されていたり、その能力について疑いの目が向けられている中で、その能力を顕示する意味もあったのだろう。そしてまた、いやむしろ「一罰百戒」の言葉にもあるように、「インチキ技」を行おうとする者たちへの牽制球としての摘発だったのかもしれない。
良しにつけ悪しにつけ、見ている人は見ている、ということなのだろう。
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