ポーランドは現在多政党が活動する二院制(下院460、上院100議席)の共和国体制。統治システムは立法・行政・司法の三権制度に依拠している(日本と同じ)。そのうち、行政府は大統領と閣僚評議会の権限で、直接選挙で選ばれる大統領は国家元首としての立場にある。そして国内外の政治は政府(閣僚評議会)が執り行い、その中心として指揮を執るのは閣僚評議会議長こと首相である。

ポーランドの政治体制

カチンスキ兄弟は共にかつてのポーランドの話では必ず名前が出てきた、ワレサ議長率いる自主管理労組「連帯」の出身。すでに双子の大統領・首相の可能性については昨年9月の総選挙後に一度機会があかったが、レフ氏の大統領選挙が10月に行われる際に「双子で国家権力を独占するのは危険だ」という批難が起きるのを避けて、腹心のマルチンキエウィチュ氏を据えたという経緯がある。

ところがマルチンキエウィチュ氏も党内での路線対立や野党第一党と「通じて」いたことが暴露され、辞任に追い込まれた(氏はワルシャワ市の市長に立候補する予定)。そこで今回のポーランド版「ザ・ツインズ」「ザ・たっち」ではないが、双子の大統領・首相登場と相成ったわけだ。

各種報道では「議会が賛成するのはほぼ確実」とする報と「権力集中はよくない」とする報が入り混じり、今のところ情勢がどう動くかは流動的であるといわざるを得ない。ここ数日中のうちに結果が出ることだけが確かな話のようだ。ポーランドの双子大統領・首相としてレフ・カチンスキ氏とヤロスワフ・カチンスキ氏が桧舞台に立つことはあるのだろうか。注意深く動向を見守りたい。