「水と油」の関係も変わる!? 新技術で有害物質を抑えて燃料もアップする「三相乳化法」を神奈川大が開発

2006年07月13日 06:00

スーパー・エマルション燃料イメージ【神奈川大学】は7月12日、「相容れないもの」の代名詞としてよく用いられている水と油を混ぜて燃料の燃費向上を目指す「エマルション燃料」の一種で、未来環境対応型の「スーパー・エマルション燃料」を開発したと発表した(【発表リリース、PDF】)。

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スーパー・エマルション燃料イメージ今回の「スーパー・エマルション燃料」の開発には新技術「三相乳化法」が用いられた。これは本来は混ざりにくい水と油を混ぜることで燃費向上を目指す「エマルション燃料」を作る際に、これまで界面活性剤を用いた乳化法(水と油を混ぜると牛乳のようになることから名づけられた)とは別の活気的な方法。要するに「油と水をきれいに混ぜ合わせ、しかも混ざったままの状態を長時間維持する」技術。

田嶋和夫教授らの研究グループは「水と油を混ぜる際にひまし油を追加することで、ひまし油の微粒子が水と油の分子を結合する役目を果たして均一に混ざる」という、この技術の開発に成功。結果として軽油に水を3割程度混ぜて三相乳化法で混合し「スーパー・エマルション燃料」化することによって、10~15%の燃費向上やNOxをはじめとする各種有害物質の排出の大幅削減、PM値(粒子状物質の割合、いわば粉塵率)の劇的な削減(20分の1以下)が実現できたという。またこのような燃料を使用した際に気になる運転性・走行性についても、30トンもの重量車両に用いた場合でも一般的な走行性能の確保を確認したとのこと。

三相乳化法で作られたスーパー・エマルション燃料の効用
三相乳化法で作られたスーパー・エマルション燃料の効用

今回発表された三相乳化法とその技術による「スーパー・エマルション燃料」は、燃料(石油)の節約に結びつくだけでなく、10月から施行される次期排出ガス規制も十分クリアでき、「経済面」「環境面」二つの分野において非常に貢献する技術として注目を集めている。特に後者においては、二酸化炭素の排出量の削減など、京都議定書の目標達成に寄与するとして期待されている。研究グループでは今後、食品や医薬品など各分野において応用研究を進めるとしている。

技術面においても、複数の油を混ぜたり、水と油を再分離することが簡単だったり、界面活性剤を用いた場合にはキレイな水でないとできなかったのが工業用水でも可能だったりと、使いやすく柔軟性に富んだものとなっている。

量産使用化する際にはまだいくつかの超えるべきハードルが残されているものの、今技術の効用が完全に認められれば、化石燃料を消費する分野においてかなりの成果が期待できる。特に環境面での効果が著しいことに期待が高まるのは間違いあるまい。

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