福岡県で万引き防止のため「販売証明シール」をレジで貼る試み

2006年07月01日 08:00

時節イメージ[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]が報じたところによると、福岡県では同県内の書店が作る【福岡県商店商業組合】は7月1日から、本を販売する際に「販売証明シール」を貼り、古本屋などで万引きされた本と正規に購入された本との見分けがつくようなシステムをスタートした。

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この「販売証明シール」は「万引き防止」にちなんで「マンボウ」のイラストが描かれており、直径が1.5センチの円型をしている。一度買ったお客がはがして他の本に使わないよう、加工が施されているという。

記事によれば本の万引き被害は最近になって、換金目的で万引きをしてそれらの本をすぐに古本屋に持ち込むケースが後を絶たず、【経済産業省】が4年前に行った調査(【書店における万引に関するアンケート結果について】)でも書店1店舗あたりの被害額は年間211万8685円にのぼるという。また、一度に複数の商品が盗まれる場合も多く、1件あたりの被害金額平均は9433円になる。万引き犯の年令は高校生・中学生がダントツで多く、ついで主婦が続いている。4年前のデータでは理由について「自分で読むため」が50%、「換金するため」が14%だったが、古本チェーン店が大規模に展開している昨今では「換金目的」の割合がさらに増えているものと容易に想像される。

万引き防止のため、書店が自主的に証明シールをはるのは全国でもはじめてで、コンビニなどを除く福岡県内の400近い書店で本日7月1日から実施。さらに福岡県でも条例を改正し、保護者の同意がないまま18歳未満の少年から古本を買い取った店には20万円以下の罰金を課すようにしている。

福岡県商店商業組合の公式サイトには掲示板も設置されており、その掲示板には今回の「マンボウシール」貼り付け決定について、実にさまざまな意見が寄せられていた。「現状をかんがみるに仕方ない」「万引きを抑えるのならば当然の措置だ」とする一方、「お客を信用できないのか」「購入決定意志を出す前にレジでシールが貼られたらどうするの」「小さいシールであっても本の価値を下げるのは好ましくない」とする反対意見も多数見受けられた(7月1日午前現在、原因は不明だが同サイトへのアクセスはできなくなっている)。

両方の意見ももっとも至極であり、どちらが間違っているか、と言い切るのは難しい。「年間212万円/店舗、1件9433円の万引き被害」という事実がある以上、何らかの形で万引き防止を図る必要があることだけは確か。今回の「販売証明シール」の添付は一つの方法論として福岡県商店商業組合が世に投げかけたものであり、今後も全国レベルで検討とより効果的な方法を模索する必要がある。

ちなみに、本屋などの店舗で商品を隠し持ち、代金を支払わずに持ち帰ることをマスメディアなどでは「万引き」と称しているが、法律上は立派な「窃盗」に他ならない。表現の差し替えが犯罪意識を軽くする手助けをしているのなら、まずは「万引き」という表現自身を改めるべきだろう。

■関連記事:
【(2008/04/25)本の万引き被害、年間192億円】

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